異動シーズン、引き継ぎ難航 新型コロナで北陸の企業

2020/03/25 01:54

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、北陸に拠点を置く企業が人事異動に伴う業務の引き継ぎに苦慮している。本来は4月1日に異動を行う企業が多いものの、政府が集団感染を防ぐために慎重な行動を求めており、各企業は異動時期の延期やテレビ会議での引き継ぎなど異例の対応を決めた。人の移動が多く、感染リスクが高まる時期だけに、各企業は感染者を出すまいと対応に知恵を絞っている。

 

 北陸銀行は、新型コロナウイルスに関する緊急融資の対応に当たっている行員の赴任時期について、柔軟に対応する。現任地と異動先の部長や支店長同士で調整し、業務に影響が出ない範囲で延期を可能とした。同行は今年、北陸から東京、北海道など長距離の異動を例年よりも抑えた。

 

 世界に拠点を持つ建機大手コマツは、4月の異動の一部を先送りする。現任地や着任先によっては、入国制限や帰国後の自宅待機などの措置が講じられるためで、担当者は「異動予定者や家族の安全を最優先に対応する」と語った。

 

 一方で、ダイワ通信(金沢市)は、大阪、名古屋両支店へ異動する社員の内示を1カ月早め、2月上旬に行った。2月中に業務の引き継ぎを終えており、岩本秀成社長は「4月からスムーズに業務に移れそうだ」と安堵(あんど)した。

 

 異動時期を変更せずに引き継ぎ方法を見直す企業も出ている。

 

 金沢市に北陸地区営業本部がある大同生命保険(東京)は、従来からの出張を伴う対面での引き継ぎを禁止し、テレビ会議で引き継ぎを行った。本社に異動する北陸地区営業本部の小林雅明本部長は「引き継ぎのあいさつができないのは厳しいが、やむを得ない」と語った。

 

 大建工業(南砺市)も業務の引き継ぎにテレビ会議を活用し、金沢信用金庫は不要不急のあいさつ回りは電話で対応するよう各支店に指示している。

 

 感染防止のため、顧客への業務引き継ぎのあいさつを敬遠されるケースも出てきた。

 

 日医工(富山市)は顧客に医療従事者が多く、営業職の新旧担当者のあいさつを断られることがあるという。担当者は「顧客の顔を見ずに赴任するのは営業職にとって不安だ」と話した。