中東緊迫、備えに奔走 北陸の製造業

2020/01/09 02:07

 イランがイラク国内の米軍駐留基地を攻撃し、中東情勢が緊迫化した8日、北陸の製造業が対応に追われた。建機大手コマツは社員の中東への渡航を禁止し、現地の民族衣装を生産する繊維企業は輸出ルートの確認に奔走した。今後、一段と情勢が悪化し、原油高や円高が進めば、輸出企業の多い北陸経済に打撃となる可能性が高く、各企業は先行きを警戒している。

 

 「米中摩擦の影響は限定的だったが、中東は先行きが見通せず不安が大きい」。コマツ粟津工場の岡本望工場長は情勢のさらなる悪化に身構える。

 

 コマツはドバイに拠点を持ち、中近東向けに建機を販売している。2018年度の売上高は302億9千万円だった。米国とイランの対立が激化したことを受け、当面は社員のイラン、イラクへの渡航を禁止することを決めた。

 

 「万一、輸出ルートが寸断されれば、民族衣装の生地の生産を止めざるを得ない」とするのは、小松マテーレ(能美市)の担当者。民族衣装が同社の輸出額全体に占める割合は約3割に相当する。今期は受注が持ち直し、フルで注文が入っているだけに関係者は気をもんでいる。

 

 北日本紡績(白山市)は数カ月に1度、社員を中東に派遣し、民族衣装の市場調査を行っている。次に出張予定のある3月については、渡航の可否を慎重に検討する。

 

 8日の円相場は、円高が一時的に進行する局面があり、東京商品取引所では中東産原油の先物価格も一時約7カ月半ぶりの高値を付けた。その後は過度な警戒感が後退し、上げ幅を縮小したものの、今後、円高、原油高が進めば、為替差損の発生や原材料の高騰など企業の収益を圧迫する要因となる。

 

 自動車関連の工作機械を製造する高松機械工業(白山市)の担当者は「年明けから大変なことになった。しばらくは厳しそうだ」と不安を隠さない。

 

 工作機械業界では、米中貿易摩擦の影響で中国の設備投資が冷え込み、足元で受注が鈍っている。昨年末に米中貿易交渉が部分合意に達し、摩擦が緩和される見通しとなったばかりだけに、別のメーカーからは「米中摩擦がやっと一段落しそうな中で、まさかという思いだ」と恨み節も漏れる。

 

 電源製品の輸出を手掛けるコーセル(富山市)の小西有吉常務は「円高を懸念している。対策の施しようがなく、沈静化を祈るしかない」とこぼし、ホンダを主要顧客とする田中精密工業(富山市)の担当者は「海外リスクで消費マインドが冷えれば、車の売れ行きが鈍ってしまう」と警戒した。