金沢市片町周辺では、築50年前後の老朽ビルが並んでいる

老朽ビル建て替えの動き 金沢・片町周辺 複雑な権利関係、費用に課題

2018/11/09 02:04

 金沢市片町周辺で、老朽ビルや遊休施設を建て替える動きが出てきた。近く広坂1丁目のうつのみや旧金沢柿木畠本店ビルの解体工事が始まるほか、10月には都内の不動産業者が竪町通りの長崎屋旧金沢店があったビルを購入した。一方、規模によっては建て替えに十億円以上かかるビルや権利関係が複雑な物件もあって二の足を踏む地権者は多く、開発が持続するかは不透明だ。

 

 片町周辺では高度経済成長期に完成した物件が多く、スクランブル交差点付近では築50年前後のビルが立ち並ぶ。

 

 北陸新幹線開業前後から金沢駅周辺で商業集積が進む中、テナントの流出を防ぐため、ビルを建て替え、物件の魅力を維持したいとの思惑を持つオーナーもいる。

 

 ただ、建設費の高騰に加え、片町周辺では土地が細かく分筆され、権利関係が複雑な土地・建物もある。新たに建てるビルの用途や入居するテナントなどについて、地権者ごとに立場や考えが異なるため「合意形成までに時間がかかるケースもある」(ビル地権者)という。

 

 「年月がたって建物も傷んだ。でも建て替えには10億円近くかかる。そんな金額、払えないよ」。片町地区のビルのオーナーが嘆く。このオーナーによると、入居するテナントが少なくなって賃料収入が減っており、金融機関も新規の融資には慎重な姿勢だという。

 

 ある建設業者は「仮にビル1棟が新しくなっても目立ちにくい。そのため、多少は時間を要するかもしれないが、みんなで再開発しようという話になりやすい」と語る。

 

 現在、香林坊交差点から片町きららまでの4千平方メートル区域では再開発に向けた準備組合が設立され、地権者が再開発ビル建設の具体的な協議を進めている。

 

 他方で資金力のある企業による単独開発はスムーズに進む特長がある。不動産所有・賃貸などのザイマックス(東京)は10月、総合スーパー長崎屋旧金沢店があった竪町のビルなど2棟と土地2区画を取得した。不動産関係者は「短い交渉期間で、ザイマックス側と地権者が売買に合意できたようだ」と話す。

 

 竪町通りではほかに、ファースト・モータース(金沢市)が旧東京ストアーのビル跡地に賃貸マンションを開発した。

 

 関西電力子会社の関電不動産開発(大阪市)が手掛ける旧うつのみや本店跡地について、近くビルの内装の除去を始め、来年4月下旬までに建物の解体を完了させる計画だ。

 

 片町周辺では今後、老朽ビルの跡地活用の検討がさらに進むとみられる。物販や飲食を中心に発展したまちなかをいかに再生、活用していくか。個々のビル建て替えは、今後のまちづくりの方向性に影響を与えそうだ。