北陸の酒輸出、過去最高 16年度、10年前の4.8倍 ブーム追い風

2018/05/25 02:08

 金沢国税局が24日発表した2016年度の北陸三県の清酒輸出数量(速報値)は、前年度比36・0%増の502キロリットル(一升瓶およそ27万9千本分)で、過去最高を更新した。10年前の4・8倍となる。輸出実績のある酒造会社は80事業者のうち45事業者となり、3年連続で半数を超えた。世界的な日本酒ブームを追い風に、北陸の酒蔵も積極的に輸出に乗り出している。

 

 輸出数量の伸び率は過去10年間で最も高かった。国内向けを含む出荷数量全体は5・4%減の1万6004キロリットルとなり、輸出が占める比率は前年の2・2%から3・1%に高まった。

 

 金沢国税局が実施し、80事業者が回答したアンケートによると、17年の北陸からの輸出先は計58カ国・地域あり、台湾32事業者、シンガポール31事業者、香港29事業者の順に続いた。輸出実績のある事業者の比率は56・3%だった。

 

 全国の17年の輸出数量は19・0%増の2万3482キロリットルで過去最高となった。金額でみた輸出先は米国、香港、中国の順に多かった。

 

 輸出数量は金沢市のANAクラウンプラザホテル金沢で開かれた北陸三県日本産酒類輸出促進連絡会で報告された。連絡会では北陸三県の酒造関係者や国の出先機関、各県の担当者らが輸出拡大に向けた取り組み状況を共有した。

 

 「海外は小さな蔵も可能性がある」。松波酒造(能登町)の若女将(おかみ)、金七聖子さんは語る。13年から輸出に取り組み、最近は売上高の5~8%を海外向けが占める。11月にはマレーシアでの日本食品フェアに初出展する。金七さんは「まだ競合相手の少ない国を狙い、3年ぐらいはうまくいかなくても仕方ないという中長期的な姿勢で臨みたい」と話した。

 

 数馬酒造(同)は取引のある卸業者や酒販店と一緒に新しい国に出ることが多いという。同社は10カ国以上と定期的な取引があり、地域は欧州、北米にも広がる。數馬嘉一郎社長は「今は販路を広げて情報を収集している段階。いずれは自分たちの考え方に近い国に絞って注力するなど、新しい段階に進みたい」と力を込めた。

 

 地方の酒蔵が海外で継続して販売するには、商社や現地企業との連携が不可欠だ。輸出が伸び悩む富山県西部の酒造会社の経営者は「しっかりとしたパートナーを見つけるのは難しく、国内にはない課題がある」と漏らした。