民族楽器「イダキ」を手に取る八井さん。右側の2本は輪島塗が施され、左側の2本はこれから作業に入る=輪島市河井町

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アボリジニ楽器に輪島塗 輪島の漆器店「新境地開拓」 見た目に加え「響きも向上」

2018/07/19 01:28

 輪島市河井町の八井浄(やついきよし)漆器本店は18日までに、オーストラリアの先住民アボリジニが祝いの儀式などで使う管楽器「イダキ」に輪島塗を施した。富山市の奏者の依頼でこれまでに2本を仕上げたところ、堅牢(けんろう)優美な出来栄えだけでなく「響きが良くなった」と好評で、今月からさらに2本で取り掛かる。完成後は輪島でお披露目の演奏会が予定され、同店は輪島塗の新たな需要開拓に弾みを付ける。

 

 イダキはシロアリに食べられて空洞となったユーカリの木の筒を使った楽器で、唇を振動させて息を吹き込むと「ブォーン」と音が響き渡る。長いものは2メートルを超え、ディジュリドゥとも呼ばれる。

 

 輪島塗を依頼したのは、富山市八尾町のイダキ奏者浅岡秀彦さん(58)で、上質な光沢を求めて2011年、八井浄漆器本店に長さ約160センチの2本で黒、赤の仕上げを注文した。同店によると、浅岡さんは「イダキをたくさん持っているが、輪島塗を施したものが一番音がいい」と気に入り、14日、新たに長さ約140センチの2本を発注した。

 

 今後は、強度を高める布着せや研ぎ出し、中塗り、上塗りといった輪島塗の手仕事の工程を積み重ね、3~4カ月掛けて完成させる。依頼があれば家紋や意匠を蒔絵(まきえ)の技法で入れる。

 

 同店ではこれまで沖縄の三味線「三線」の棹(さお)(ソー)にも輪島塗を施しており、依頼者から同様に「音が良くなった」との報告を受けた。音が向上する学術的な調査を行っていないため、理由は分かっていない。

 

 5代目店主の八井浄さん(78)は「ほかの楽器でも要望があれば引き受け、輪島塗の新たな境地を開拓していきたい」と話し、輪島塗によって響きや音が向上する仕組みも探る考えを示した。