考案した蒔絵ガラスの器を見る吉田さん=加賀市内

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蒔絵ガラスで夏の販路開拓 加賀・吉田さん考案 独自の手法、漆の定着度アップ

2018/07/05 02:01

 加賀市山中温泉長谷田町の漆芸家吉田華正(かしょう)さん(78)が、ガラスの器に蒔(まき)絵(え)を施す新たな技法を考案した。漆や金箔(きんぱく)はガラスの素地に定着しにくいのが難点だったが、高温で焼き付ける独自の手法によって解決した。涼しげな器が好まれる夏場は伝統的な山中漆器の需要が落ち込む傾向があるといい、吉田さんは涼感を醸す「蒔絵ガラス」の器を県内外に発信して山中漆器の夏の販路を開拓したいと意気込んでいる。

 

 吉田さんによると、木製漆器は暑苦しさを感じるとして夏場は売れ行きが伸び悩むといい、「漆器業界は6月末ごろから夏休みになる」(吉田さん)という課題があった。夏にも需要がある漆器を作ろうと、吉田さんは昨年末ごろから蒔絵ガラスの器の試作を始めた。

 

 一般的にガラスの素地は漆の食いつきが悪く、すぐに剥がれてしまうという問題がある。4カ月間にわたって試行錯誤を重ねた結果、最終的に200~250度の温度で20分ほど漆や金箔を焼き付ける工程を数回繰り返し、ガラスに蒔絵をしっかりと定着させることに成功した。現在、「華正蒔絵ガラス」の名称で特許庁に意匠登録を申請している。

 

 新作のガラス盃(さかずき)は、器の底に歌舞伎役者や金魚などをあしらい、光の反射によって器全体が黄金色に輝いて見えるのが特徴となっている。このほか、抹茶碗や皿なども制作し、4日に東京の日本橋三越本店で始まった発表会で約70点をお披露目した。

 

 吉田さんは、将来的には業界全体で技術共有して、蒔絵ガラスを山中漆器の定番商品に加えたいとしており、「漆器が弱い夏場の販売をカバーし、山中漆器の活性化につながればうれしい。海外に向けても発信していきたい」と話している。