禅の世界観を歌と音楽で繰り広げる出演者=金沢歌劇座

禅の心、オペラで響かせ 金沢歌劇座で「ZEN」初上演

2020/11/23 01:09

 金沢出身の仏教哲学者の鈴木大拙と、かほく市出身の哲学者西田幾多郎の生誕150周年を記念した新作オペラ「禅~ZEN~」を抜粋した「オペラハイライト」(北國新聞社特別協力)は22日、金沢歌劇座で上演された。近代化に向かう時代を生きた大拙と幾多郎の生きざまが洗練された歌と音楽で表現され、日本の禅の心と世界観を観客に届けた。

 

 「禅~ZEN~」は大拙と妻のビアトリスらが登場し、「愛と死」がテーマとなっている。この日が全編初演となるはずだったが、コロナ禍による予定の遅れなどにより、2022年に延期が決定。各場面を抜粋しての披露となった。

 

 若き大拙と幾多郎が鎌倉の円覚寺で修行する場面で幕を開け、垣内悠希さんの指揮でオーケストラ・アンサンブル金沢が旋律を奏でた。大拙を演じるテノールの高柳圭さん、幾多郎役を務めるバリトンの原田勇雅さんが禅問答を繰り広げ、「妙」を「ワンダフル」と英訳した大拙の言葉を歌詞にした曲で会場を引き込んだ。

 

 大拙とビアトリスの結婚を母エマが許す場面に続き、乃木希典(まれすけ)学習院長の嘆きや希望に大拙と幾多郎が応じる場面で締めくくられ、ソプラノの石川公美さんとメゾソプラノの鳥木弥生さん、バスの森雅史さんが情趣あふれる歌声を響かせた。金沢オペラ合唱団も出演した。

 

 上演に先立ち、台本を執筆した前鈴木大拙館長の松田章一さんと作曲家の渡辺俊幸さん、演出を手掛けた三浦安浩さんが制作に込めた思いを語った。

 

 後半は、2014年に初演された泉鏡花原作のオペラ「滝の白糸」がハイライトで上演された。俳優の辰巳琢郎さんの語りで、水芸の太夫・滝の白糸を演じるソプラノの中嶋彰子さんと、青年・村越欣弥役の高柳さんが「永久(とわ)の愛」を誓う悲恋物語を繰り広げ、会場の涙を誘った。