1934年に作製された地図。旧和倉町の場所が記されている=七尾市ののと里山里海ミュージアム

幻の「和倉町」示す地図 青森で発見、里山里海ミュージアムで展示

2020/08/04 01:56

 七尾市で1934(昭和9)年から5年間のみ存在した「和倉町」が記された国発行の地図が3日までに、青森市内の民家で見つかった。「幻の自治体」と呼ばれた町の存在を示す地図は七尾市に寄贈され、のと里山里海ミュージアムで展示を開始。専門家は「大変珍しく、七尾市史における貴重な史料」としており、郷土の歴史を伝える教材として役立てる。

 

 地図は縦44センチ、横58センチ。青森市に住む男性が遺品整理の際に自宅で発見し「地元で活用してほしい」と寄贈した。地図は34年に旧内務省が作製。旧和倉町を含む22町村のうち17町村が記載されている。「本図ハ正式製版ニ先立チ応急ニ発行セルモノナリ」との記述が確認でき、国が緊急的に作製したことも分かる。

 

 七尾市史や田鶴浜町史によると、旧和倉町は端村(はしむら)、田鶴浜村、赤蔵村の旧3村が合併して34年6月に誕生した。和倉温泉が属していた端村は当初、合併に反対する動きもあったが、▽町名を和倉町にする▽道路を舗装する▽波止場を造る―などの条件をのんで旧和倉町が発足した。

 

 5年後の39年7月に6村が合併して七尾市が生まれると、旧和倉町の一部も七尾市に吸収され、代わりに田鶴浜町が発足した。さらに戦後、平成の大合併を経て、現在の七尾市が誕生した。

 

 地図は、石川県を代表する温泉街となった和倉温泉の歴史を伝える上でも、貴重な史料とみられる。のと里山里海ミュージアムの和田学館長は「七尾市の合併の歴史を研究する際にも面白い素材。現在の地図と見比べるなど、郷土学習に活用してほしい」と話した。