試料採取に協力する石川県犀川左岸浄化センター=金沢市下安原町

コロナ流行、下水で把握 金大・本多准教授ら 石川、富山で調査開始

2020/05/19 01:57

 新型コロナウイルスの感染実態を探るため、金大理工研究域の本多了(りょう)准教授(環境工学)らの研究チームが、下水を活用した疫学調査を石川、富山県でスタートさせた。感染者は潜伏期間中から便にウイルスが混じるとされる。下水処理場の汚水のウイルス量を調べることで、現在の感染状況や「第2波」を察知する分析手法を開発し、早期感染防止につなげる。

 

 調査には、日本水環境学会COVID―19タスクフォース幹事長の本多准教授と、端昭彦富山県立大講師らが参加する。下水の採取は各地で行われているが、検査を伴う本格調査は石川、富山が全国に先駆けて実施する。

 

 3月上旬から両県の下水処理場4カ所の協力で、定期的に汚水の採取を行っており、ウイルス量を測定している。新型コロナウイルスは、フランスなど海外で行われた下水調査の実績から、10万人当たり数十人の感染者があれば検知できるとされる。ウイルスの検知技術の向上や、測定したウイルス量と、実際の感染者数との相関関係の分析などに取り組む。

 

 成果は協力自治体に公開し、自治体が独自に感染状況の把握に活用できるようにする。仙台市では同じ手法でノロウイルスの定期調査が行われているという。

 

 コロナでも下水の調査結果は、市中の感染状況を知るための感染者数、陽性率などを補完する新たな指標となりうる。検査手法が確立すれば患者が医療機関にかかる前段階や、ウイルスの潜伏中、無症状で検知可能となり、第2波、第3波の察知に役立つ可能性がある。

 

 日本水環境学会では石川、富山を含む全国24事業体の協力で下水の採取を行っている。本多准教授らは京大のグループとも協力し北陸、近畿地方の調査を行う。本多准教授は「下水処理場に、疫学情報を収集するという新たな役割を付加することで、早期に流行の全体像をつかむのに役立つ。有効なコロナ対策につなげたい」と話した。