新たに見つかった鏡花最後の戯曲作品「お忍び」の自筆原稿=金沢市泉鏡花記念館

泉鏡花の「お忍び」不明原稿発見 最後の戯曲、金沢を舞台に 記念館が公開

2020/02/17 02:04

 金沢が生んだ文豪泉鏡花(1873~1939年)の最後の戯曲作品「お忍び」の自筆原稿のうち、所在不明となっていた2枚が京都市内の個人宅で見つかり、金沢市泉鏡花記念館で16日までに公開された。市が2017年、製本された原稿を入手した時点で3枚分が欠落していた。同館は残り1枚となった不明原稿の調査を続ける。

 

 戯曲「お忍び」は1936(昭和11)年1月に「中央公論」で発表された。生涯で20編の戯曲を残した鏡花が唯一、郷里金沢を舞台に描いた作品で、美しい妾(めかけ)の幽霊が出るという空き屋敷へ出掛けた「客」と芸妓(げいこ)が幽霊に遭遇するという筋書きになっている。

 

 京都で見つかった原稿は欠落していた30~32枚目のうち31、32枚目。前後編に分かれている作品の前半最後の場面で、客と芸妓が幽霊屋敷に出掛けようとするやりとりが描かれている。

 

 入手済みの原稿と同じく、和紙に毛筆でしたためてあり、塗りつぶしや書き加えなど、無数の手直しの跡が見て取れる。

 

 市が17年に入手した製本の原稿は和紙43枚分。東京の古書店で見つかった時から3枚が欠落していた。原稿が散逸した経緯は明らかになっていない。

 

 京都市の持ち主から泉鏡花記念館に連絡があり、昨年6月に確認した。同館は見つかった2枚を借り受け、5月10日まで開催の企画展「鏡花百物語」(北國新聞社後援)で展示している。穴倉玉日学芸員は「郷里が舞台の戯曲作品で、金沢にとっても価値が高い。最後の1枚が出てくれば完全原稿となるので、情報が得られればうれしい」と話した。