水田で羽を休めるコハクチョウの群れ=加賀市干拓町

コハクチョウ怖がらせないで 加賀市が注意喚起

2019/02/08 01:59

 県内有数のコハクチョウ飛来地である加賀・小松市境の柴山潟干拓地で、観察マナーの悪化が問題視されている。農道に進入する乗用車が後を絶たず、スマートフォン片手に至近距離まで近づいて鳥をおびえさせたり、飛ぶ瞬間を撮影するために脅して追い立てる悪質なケースも散見されるという。加賀市は看板に加え、ホームページで注意喚起する考えだが、地域住民は「こんな状況が続けばハクチョウが来なくなる」と懸念している。

 

 水田が広がる加賀市干拓町や小松市湖東町などの一帯では、越冬のために北方から飛来したコハクチョウなどの渡り鳥が10月~翌3月にかけて群れをなす。県の1月の調査では柴山潟で1747羽のコハクチョウが確認され、羽咋市の邑知潟(1723羽)と並ぶ県内最大級の飛来地となっている。

 

 加賀市は2006年、同市干拓町の農道入り口に観察マナーを記した看板を設置し、ハクチョウが首を持ち上げる警戒行動を取ったら近づかないことや、人の姿が見えると嫌がるため車から降りずに眺めるよう呼び掛けてきた。

 

 周辺住民によると、近年は看板がない小松市側の車道から農道に進入する車が目立ち、週末には4、5台が並んで止まっていることもあるという。

 

 水田のあぜにまで踏み込んでスマートフォンで撮影しようとする人もおり、地元の60代女性は「見掛けた時には注意することもあるが、しょっちゅう見回りもできない」と腕組みする。

 

 一帯で長年にわたり野鳥の観察や飛来地の保全に取り組んできた寺谷泰彦さん(65)=同市塩屋町=は、マナーをわきまえない写真愛好者も増えていると指摘する。

 

 寺谷さんによると、雪の白山を背景にコハクチョウが飛んでいる構図を狙い、羽を休めているところを追い立てたり、石を投げたりして無理に飛ばそうとする人もいるという。

 

 寺谷さんは「しつように怖がらせれば二度と来なくなる。その時限りの被写体としてしか見られない者には撮る資格がない」と憤る。

 

 市は観察マナーを周知徹底するため、近く市のホームページなどで呼び掛ける。環境政策課の担当者は「コハクチョウは観光のためのものではなく、人間の影響は制限しないといけない。土地所有者の理解が得られれば看板の増設なども検討したい」としている。