繭を作った蚕を見守る生徒=津幡高

県産繭で牛首紬 津幡高、蚕「玉小石」を飼育 精練作業経て織り上げ

2019/01/11 01:46

 養蚕復活プロジェクトに取り組む津幡高園芸部が10日までに、日本の原種に近い蚕「玉小石(たまこいし)」の飼育に成功した。玉小石は石川県指定無形文化財の絹織物「牛(うし)首紬(くびつむぎ)」の材料となる「玉(たま)繭(まゆ)」を多く作る品種で、園芸部は西山産業(白山市)と協力して純県産素材で牛首紬を作る。日本の近代化の礎を築いた養蚕の歴史とともに、石川が誇る伝統産業の魅力を発信する。

 

 園芸部は2014年から将来的な養蚕復活を目指して、校内の畑などで桑の栽培を開始した。15年は人工飼料を使って蚕約千匹、17年には自校で栽培した桑の葉を使った飼育にそれぞれ成功しており、昨年、量産化されている品種に比べて管理が難しい「玉小石」の飼育に初めて挑戦した。

 

 農業実験室の準備室を飼育部屋として、段ボールに新聞紙とネットを張って飼育容器を作り、1日3~5回の餌やりを部員9人と教員3人で分担した。飼育期間中は福井市内で「玉小石」を育てる養蚕業杉本脩さん(86)の元に何度も通って助言を受け、大日本蚕糸会蚕業技術研究所(茨城県阿見町)の育種担当者に逐次、電子メールや電話で指導を仰いだ。

 

 昨年6月、同研究所から玉小石の卵約6500個の提供を受けたが、温度や湿度の管理が難しく失敗。卵からの飼育を諦め、9月にふ化直後の幼虫約1万匹の飼育に再挑戦したが、病気に苦しみ、順調に成長して繭になったのは約1500匹にとどまった。

 

 3度目の挑戦となった10月、これまでの反省を生かしてアルコールや石灰での消毒を徹底し、餌となる桑の葉も周辺で散布された農薬が付着している可能性があることから、丁寧に洗ってから与えることにした。その結果、ほぼ全ての個体が繭を作り、約9千個の繭を得た。

 

 長野県岡谷市の岡谷蚕糸博物館を通じて隣接する宮坂製糸所に繭の乾燥作業を依頼し、繭から糸を紡いで牛首紬に仕立てるため、西山産業に協力を求めた。

 

 同社によると、現在は社内で生産する牛首紬のほぼ全てが中国産繭を使用しており、国産の玉小石から糸を紡ぐのは初の試みとなる。今後は繭から糸を紡ぎ出し、付着した汚れや不要物を取り除く精練作業を経て、牛首紬を織り上げる。

 

 3年の三田慶司さんは「休み時間や始業前、放課後の時間の多くを養蚕に割き、苦労が分かった」と語り、顧問の大丸孝斉教諭(34)は「皇室では明治時代から代々の皇后陛下が養蚕を続けていらっしゃる。平成最後に献上することを目標に取り組みを進めたい」と話した。