初代徳田八十吉と初代松本佐吉がモデルにした古九谷とされる鉢(手前)。中央は佐吉、奥は八十吉が手掛けた=小松市立博物館

初代八十吉、佐吉が手本の古九谷か 小松市立博物館に鉢3点

2018/12/17 02:02

 初代徳田八十吉(1873~1956)と、初代松本佐吉(1884~1942)が手本にした古九谷とみられる鉢が、小松市立博物館で展示されている。赤い幾何学模様が特徴的な作品で、2人がそっくりに仕上げた模倣品とともに並ぶ。ただ、2人がまねて作った経緯や時期は不明で、専門家が小松九谷の原点を築いた巨匠2人のルーツを示す史料として関心を寄せている。

 

 博物館によると、古九谷とされる鉢は口径約21センチ、高さ約14センチ。作者不明で、17世紀に作られたとみられる。表面の赤い幾何学模様に加え、四方に松や瑞鳥(ずいちょう)、岩山などが描かれている。底面には古九谷作品によく記される「福」の文字を確認した。

 

 初代八十吉は、古九谷をこよなく愛したとされ、窯元「松雲堂」の陶芸家である初代佐吉は古九谷の再現に情熱を傾けた。同館の二木裕子館長は「2人が同時期に鉢を手本にして作品を仕上げた可能性もある」と指摘する。

 

 初代八十吉の鉢「古九(こく)谷(たに)欽慕丸紋深鉢(きんぼまるもんふかばち)」は口径25センチ、高さ15センチと、モデルとした鉢より一回り大きい。古九谷の窯跡から見つかった原石を使っており、器のくすんだ色合いなどが似ているという。単に再現するのではなく松や瑞鳥などの構図は変えており、二木館長は「本物と差別化を図るため構図に手を加えたのではないか」と推察する。

 

 一方、初代佐吉の鉢「赤(あか)絵古九谷深鉢(えこくたにふかばち) 模写」は口径20センチ、高さ12・5センチで、大きさはほぼ同じ。全体の構図も忠実に再現している。古九谷の土を使っていないとみられ、全体的に明るい色合いになっている。

 

 古九谷とされる鉢は、趣味で刀剣や古美術作品を収集している市議の浅野清利さん(65)が市内の知人から購入した。同館などによると、古九谷の真贋(しんがん)を判別するのは専門家でも非常に難しいため、本物かどうか結論づけることはできない。

 

 企画展は、初代佐吉の模倣品も所有する浅野さんが提案した。初代八十吉の鉢は、小松市立博物館が所有者である市内の女性から借り受けた。3月10日まで公開する。