高い土木技術で掘削された辰巳用水の隧道=金沢市上辰巳町

辰巳用水が土木遺産に 県内4件目の認定

2018/09/29 01:51

 金沢市の辰巳用水が28日、土木学会の選奨土木遺産に認定された。9カ月の短工期での開削を可能とした高い測量・建設技術や、現代に至るまで兼六園や城下町金沢の景観を形作り、まちづくりに貢献している点が評価された。石川県内で4件目、金沢市内では初めての認定となり、「用水の街」金沢の発信に弾みがつくことが期待される。

 

 金沢市上辰巳町の「東岩取水口」から兼六園に至る約11キロの区間と兼六園内の水路、横穴や隧道(ずいどう)、のり面保護のため築かれた「三段石垣」、遊歩道として市民に親しまれる用水管理道などがまとめて「辰巳用水関連施設群」として認定された。

 

 2000年度に創設された土木遺産は近代の土木建造物が対象で、県内ではこれまでに白山市の甚之助谷砂防堰堤(えんてい)群と七ケ(しちか)用水、能美市、川北町の手取川霞(かすみ)堤(てい)の3件が選ばれている。09年には金沢出身の八田與(よ)一(いち)技師が建設した台湾・烏(う)山(さん)頭(とう)ダムも認定された。

 

 辰巳用水は1632(寛永9)年、加賀藩3代藩主前田利常の命を受けた板屋兵四郎が開削した。30メートル間隔で開けた横穴から両側に掘り進めてつなげた隧道や、高低差で生じた水圧を利用して水を押し上げ、百間堀を横断させる逆サイホン方式など、高い土木技術は元々評価されており、2010年に国史跡に指定されている。

 

 土木遺産認定に向けた運動に取り組んだNPO法人「辰巳用水にまなぶ会」の事務局長、山本光利さん(70)は「藩政期からのたゆまぬ維持管理で用水が今に伝えられている。保全と利活用への責任、使命感を感じる」と話した。

 

 用水を管理する辰巳用水土地改良区や、用水を利用して稲作に従事する農家はいずれも高齢化している。まなぶ会副理事長を務める金沢職人大学校長の北浦勝さん(74)は「認定をきっかけに若い人にもふるさとの辰巳用水に興味を持ってもらいたい」と期待を込めた。