千田北遺跡から出土した僧形の神像=金沢市千田町

僧形の神像、全国初の出土 金沢・千田北遺跡

2018/08/25 01:51

 金沢市埋蔵文化財センターは24日、同市千田町の「千田北遺跡」で、鎌倉時代の僧形の神像が出土したと発表した。僧形の神像が遺跡から発掘されるのは全国初。経文が記された木簡なども見つかり、同センターは、遺跡の一部がかつて祖先の供養や祭祀(さいし)のための宗教的空間になっていた可能性が高いとしている。

 

 千田北遺跡では、2015年度から金沢外環状道路海側幹線の整備に合わせて発掘が進められている。

 

 今回出土したのは、高さ16・1センチの木像。剃髪(ていはつ)した僧の姿をかたどったものと見られ、胸の前で腕を組む形から、菩薩(ぼさつ)などの仏像ではなく神像と推定される。

 

 神像は、神社に安置されるなどして伝わっているものが多く、発掘で見つかるのは全国で5例目、僧形では初めての事例となる。

 

 神像と合わせ、経文が書かれ、中世において追善などに用いられた木簡「こけら経」、厨子(ずし)や笠塔婆に取り付けられていたと思われる木製品、卒塔婆なども出土した。

 

 遺跡には東西に延びる堀の跡があり、木像やこけら経は堀の南側で見つかった。南側では鎌倉時代の墓も発掘されている。北側には建物の跡があり、当時居住していた有力者が、堀の南側を墓地や祭祀の空間に位置付けていた可能性があるという。

 

 市埋蔵文化財センターの担当者は「卒塔婆などがある仏教的な空間で神像がまつられていたとすれば、当時の神仏習合について詳しく分かるきっかけになる」とした。金沢学院大文学部の小嶋芳孝教授(考古学専攻)は神像について「仏師などの手慣れた人間が作っていると思われる。県内では珍しい古い事例であり、貴重な発見だ」と話した。

 

 出土品や遺跡は、26日午後2~3時に一般公開される。