きょうのコラム『時鐘』

2020/01/20 00:47

 マラソン、競歩(きょうほ)の会(かい)場変更騒(じょうへんこうさわ)ぎが収(おさ)まったと思(おも)ったら、今度(こんど)は長(ちょう)距離用(きょりよう)の「厚底(あつぞこ)シューズ」がヤリ玉(だま)に。何(なに)かと騒々(そうぞう)しい五輪(ごりん)の華(はな)・陸上界(りくじょうかい)である

門外(もんがい)漢(かん)には、よく分(わ)からぬ騒(そう)動(どう)である。好記録(こうきろく)を生(う)む「魔法(まほう)の靴(くつ)」なら、世界記録(せかいきろく)の期待(きたい)をあおり、本番(ほんばん)を盛(も)り上(あ)げる格好(かっこう)の用具(ようぐ)ではないか。なぜ禁(きん)じる声(こえ)が出るのか

かつて騒いだ「高速水着(こうそくみずぎ)」をイヤでも思(おも)い出(だ)す。世界新(せかいしん)連(れん)発(ぱつ)の栄光(えいこう)を生んだ揚(あ)げ句(く)に五輪から姿(すがた)を消(け)した。確(たし)か、1社独占(しゃどくせん)の高額(こうがく)な水着。ライバル社(しゃ)や多(おお)くのスポンサー企業(きぎょう)に支(ささ)えられる五輪には、扱(あつか)いにくいシロモノだったろう。魔法の靴も、どうなることか

半世紀前(はんせいきまえ)の英雄(えいゆう)・アベベは、はだしで走(はし)って金(きん)を取(と)った。東(とう)京(きょう)も連覇(れんぱ)したが、今度は靴を履(は)き、沿道(えんどう)の人(ひと)々(びと)を軽(かる)く失望(しつぼう)させたとか。裸(はだか)やはだしの時(じ)代(だい)は去(さ)ったが、多(おお)くのファンは用具(ようぐ)の優劣(ゆうれつ)でなく、鍛(きた)えた肉体(にくたい)の挑(ちょう)戦(せん)に感動(かんどう)したいに決(き)まっている

本番前(まえ)に、また舞台裏(ぶたいうら)が騒(さわ)ぐ。みっともないが、ものは考(かんが)えよう。何事(なにごと)にも表(おもて)と裏(うら)、光(ひかり)と影(かげ)がある。影のあれこれを知(し)っておけば、それに抗(こう)して得(え)たメダルの輝(かがや)きは、大(おお)いに増(ま)す。