きょうのコラム『時鐘』

2020/10/20 00:52

 連日(れんじつ)のように襲(おそ)われる人がいる。新幹線(しんかんせん)の駅舎着工(えきしゃちゃっこう)の日(ひ)にその真横(まよこ)の商業施設(しょうぎょうしせつ)に突入(とつにゅう)する。これでは、石川(いしかわ)のクマが全国的(ぜんこくてき)に有名(ゆうめい)になっても仕方(しかた)がない。観光地(かんこうち)では風評被害(ふうひょうひがい)が心配(しんぱい)される

本州(ほんしゅう)のどこにでもいそうなクマだが、白山山系(はくさんさんけい)には石川・富山(とやま)・福井(ふくい)・岐阜県(ぎふけん)にまたがる広(ひろ)い生息圏(せいそくけん)がある。約(やく)20年前(まえ)までは津幡町(つばたまち)が北限(ほくげん)とされていた。今では能登各地(のとかくち)にも出没(しゅつぼつ)する。その短時間(たんじかん)での激変(げきへん)ぶりが怖(こわ)いのである

倶利伽羅付近(くりからふきん)を走(はし)る北陸線(ほくりくせん)や高速道路(こうそくどうろ)が、クマやイノシシの北上防止線(ほくじょうぼうしせん)になっていた。しかし、いったん越(こ)えると「一点突破(いってんとっぱ)の全面展開(ぜんめんてんかい)」になる。クマ騒動(そうどう)の陰(かげ)でイノシシ被害(ひがい)は聞(き)こえて来(こ)ないが二つは同時進行(どうじしんこう)しているとみなければなるまい

数年前、九州(きゅうしゅう)では絶滅(ぜつめつ)したはずのクマが生息(せいそく)しているのではないかと話題(わだい)になった。残(のこ)されたDNAを調(しら)べたら福井県北部(ほくぶ)から岐阜県西部(せいぶ)のクマの特徴(とくちょう)があった。だれが、何(なん)のために白山山系のクマを九州まで運(はこ)んだのか。不可解(ふかかい)な話だった

が、のんきに昔話(むかしばなし)をしている場合(ばあい)ではない。「加賀温泉郷(かがおんせんきょう)は安全(あんぜん)です」の緊急宣言(きんきゅうせんげん)を出す対策(たいさく)が必要(ひつよう)だ。