きょうのコラム『時鐘』

2019/04/21 00:37

 「弁当(べんとう)の魅力(みりょく)」を紹介(しょうかい)する新聞記事(しんぶんきじ)が全国学力(ぜんこくがくりょく)テスト中学生(ちゅうがくせい)の国語(こくご)にあった。「弁当は世界(せかい)に誇(ほこ)る日本(にほん)の文化(ぶんか)」とある

そこで思(おも)い出(だ)したのは1日の衆院議長公邸(しゅういんぎちょうこうてい)での「昼食(ちゅうしょく)」である。新元号(しんげんごう)決定前(けっていまえ)に、衆参両院正副議長(しゅうさんりょういんせいふくぎちょう)から意見(いけん)を聞(き)くため官房長官(かんぼうちょうかん)が出向(でむ)いた。官邸(かんてい)は情報漏(じょうほうも)れを警戒(けいかい)して、足止(あしど)めや携帯電話(けいたいでんわ)の不使用(ふしよう)を要請(ようせい)していた。それに赤松(あかまつ)副議長が抗議(こうぎ)した

議会人(ぎかいじん)が官邸の指示(しじ)にハイと言(い)えるか、変(へん)な前例(ぜんれい)になるといけない、と言うわけだが、公邸では午前(ごぜん)11時過(じす)ぎから昼食が始(はじ)まっていた。料亭(りょうてい)から運(はこ)ばれた料理(りょうり)は食(た)べきれないほど。開始時間(かいしじかん)も早(はや)すぎる。これは昼食弁当とは言えないが、手(て)の込(こ)んだ「足止(あしど)め策(さく)」だった。食事中(しょくじちゅう)に中座(ちゅうざ)するのも大人(おとな)げない。うまい手だ

抗議のあとは、双方和気(そうほうわき)あいあいだったという。副議長は建前上(たてまえじょう)の抗議をしてみせただけか。これを政治家(せいじか)の「腹芸(はらげい)」というのかと中学生のテストを見(み)ながら思ったのである。弁当には決(き)まった形(かたち)があるわけではない。人(ひと)と人のつながりを生(う)む食(しょく)の形を言うのではなかろうか

食の力(ちから)は偉大(いだい)。皆(みな)で囲(かこ)む弁当は世界を平和(へいわ)にする。