きょうのコラム『時鐘』

2018/10/22 00:26

 「仲間外(なかまはず)れ」だが、悔(くや)しくはない。季節(きせつ)外れの桜(さくら)の開花(かいか)が全国(ぜんこく)に広(ひろ)がり、報告(ほうこく)のないのは富山(とやま)、石川(いしかわ)など7県(けん)、と先(さき)ごろ報(ほう)じられた

9月(がつ)の台風(たいふう)21、24号(ごう)で葉(は)が痛(いた)めつけられ、開花のリズムが狂(くる)った、とある。秋(あき)の「花見(はなみ)」も一興(いっきょう)だろうが、台風の置(お)き土産(みやげ)なら、浮(う)かれておれぬ。時(とき)ならぬ花便(だよ)りは、深刻(しんこく)な被(ひ)害(がい)の証明書(しょうめいしょ)。花の便りのないのが「良(よ)い便り」とも言(い)える

集計(しゅうけい)によると、仲間外れは、他(ほか)に秋田(あきた)、鳥(とっ)取(とり)、佐賀(さが)、大分(おおいた)、長崎(ながさき)の5県。豪(ごう)雨(う)、暴風被害(ぼうふうひがい)を劇的(げきてき)に免(まぬが)れたわけではない。何(なん)で仲間から外れたのだろう。どこも名(な)だたる「美人(びじん)の産地(さんち)」だが、それと桜とがつながるのか

わが知恵(ちえ)の乏(とぼ)しさを棚(たな)に上(あ)げ、ひょっとして、と思(おも)う。「台風の影響(えいきょう)」説(せつ)も、どこか怪(あや)しくはないか。先(さき)の台風で身(み)に染(し)みたのは、予期(よき)せぬ事態(じたい)が相次(あいつ)いで起(お)きる自然(しぜん)の怖(こわ)さであり、人(ひと)の知恵や力(ちから)の頼(たよ)りなさだった。秋の桜も、自然が気(き)まぐれに試(ため)した「異常(いじょう)ないたずら」かもしれない

秋の花見をうらやましがるより、大事(だいじ)な冬支度(ふゆじたく)である。暖冬(だんとう)の予想(よそう)だが、くれぐれも「油断(ゆだん)は禁(きん)物(もつ)」。繰(く)り返(かえ)し学(まな)び直(なお)した戒(いまし)めである。