きょうのコラム『時鐘』

2021/01/26 00:59

 13万羽(まんば)の殺処分(さつしょぶん)が完(かん)了(りょう)、と報(ほう)じられた。鳥(とり)インフル感染(かんせん)という新(あら)たな難題(なんだい)の出現(しゅつげん)。近(ちか)ごろは、桁外(けたはず)れの数字(すうじ)が出(で)るニュースが目立(めだ)つ

数字に強(つよ)い人(ひと)は深(しん)刻(こく)さが分かるのだろうが、逆(ぎゃく)の人間(にんげん)には「ともかく途方(とほう)もない数(かず)」という頼(たよ)りない情報(じょうほう)しか伝(つた)わらぬ。鳴(な)き声(ごえ)や走(はし)る姿(すがた)が身近(みぢか)から遠(とお)ざかり、鶏(にわとり)との付(つ)き合(あ)いも変(か)わった

産(う)みたての卵(たまご)のぬくもりの記(き)憶(おく)が薄(うす)らぎ、桁外れの数の鶏は囲(かこ)いの中(なか)に追(お)い込(こ)まれた。卵は物価(ぶっか)の優等生(ゆうとうせい)とおだてられ、チキンを名乗(なの)る料理(りょうり)も広(ひろ)がってきたが、いったん事(こと)あればトゲトゲしい「処分」という言(こと)葉(ば)で最期(さいご)が報じられる。嫌(いや)な感(かん)じが膨(ふく)らみ、鶏に申(もう)し訳(わけ)ない気(き)持(も)ちになる

初優勝(はつゆうしょう)した大相撲(おおずもう)の力士(りきし)が、好(こう)物(ぶつ)は卵かけご飯(はん)、と語(かた)っていた。丼飯(どんぶりめし)に「卵はいつも2個(こ)」。人(ひと)の倍(ばい)を平(たい)らげれば、強(つよ)く丈夫(じょうぶ)になれる。数字に弱(よわ)くても分かり、役(やく)に立(た)つ身(み)の丈(たけ)に合(あ)った情報である。卵も喜(よろこ)んでいるかもしれぬ

情報化時代(じょうほうかじだい)だから、桁違いの数字が飛(と)び回(まわ)る。が、「十把一絡(じっぱひとから)げ」も良(よ)し悪(あ)し。事(こと)と次第(しだい)による、と数字と向(む)き合(あ)う難(むずか)しさをコロナ禍(か)で学習中(がくしゅうちゅう)である。余計(よけい)な騒ぎは、ごめんこうむる。