きょうのコラム『時鐘』

2019/10/18 01:10

 寝耳(ねみみ)に水(みず)にびっくりしながら、苦笑(にがわら)いが込(こ)み上(あ)げてくる。世界(せかい)を束(たば)ねるエラい人(ひと)も、時(とき)にわれわれみたいに、派手(はで)にずっこける。五(ご)輪(りん)を見舞(みま)うマラソンと競歩(きょうほ)の会場(かいじょう)ドタキャン騒(さわ)ぎである

猛暑対(もうしょたい)策(さく)という言(い)い訳(わけ)が「いまさら何(なに)を」と袋(ふくろ)だたきに遭(あ)っている。夏休(なつやす)みの宿題(しゅくだい)をサボるたび、浴(あ)びせられたせりふと一緒(いっしょ)。選手(せんしゅ)を最優先(さいゆうせん)に、という立派(りっぱ)な建(たて)前(まえ)も、つべこべ言(い)い逃(のが)れしなさんな、と一蹴(いっしゅう)されそうである

当(とう)の選手たちからも、歓迎(かんげい)より戸惑(とまど)いの声(こえ)が出(で)ている。何ともややこしい話(はなし)である。ドタキャンを口(くち)にしたボスたちにとっての最優先も、自(じ)分(ぶん)たちのメンツや高(こう)額(がく)のカネを投(とう)じてくれるスポンサーのご機嫌(きげん)ではないのか。そう勘(かん)繰(ぐ)りたくもなる

北陸(ほくりく)で眠(ねむ)い目(め)をこすって応(おう)援(えん)する身(み)には、東京(とうきょう)でも札幌(さっぽろ)でも、どっちでもいい。当日(とうじつ)は快適(かいてき)な特(とく)別席(べつせき)で観戦(かんせん)を決(き)め込(こ)むボス連中(れんちゅう)の心配(しんぱい)も、選手を襲(おそ)う酷暑(こくしょ)の軽減(けいげん)以(い)上(じょう)に、晴(は)れ舞台(ぶたい)を汚(よご)す大量棄権(たいりょうきけん)という酷評(こくひょう)に違(ちが)いあるまい

感動(かんどう)のドラマの幕開(まくあ)け前(まえ)に、笑(わら)えぬ喜劇(きげき)の前座芝(ぜんざしば)居(い)。合言葉(あいことば)は「選手を第(だい)一(いち)に」。取(と)り繕(つくろ)うのが下手(へた)なのも、われわれといい勝負(しょうぶ)。