湯を張れず、空になった浴槽を見る北村さん=白山市の一里野温泉

  ●水道施設が流出

 4日の大雨で白山市の一里野温泉に水を届ける簡易水道の施設が壊れ、一帯で近く断水する見通しとなった。13軒ある宿泊施設の多くが、水が確保できず長期休業を迫られる恐れがあり、一部の宿は泣く泣く予約を断る事態に。昨年春に源泉から温泉を送る「引湯管(いんとうかん)」が破損し、沸かし湯で代替するなどかろうじて営業してきた関係者は「コロナ禍から立ち直りかけていたのに」と嘆いた。

 市によると、一里野地区の簡易水道は白山白川郷ホワイトロード近くで取水していた。しかし、4日にコンクリート構造の取水設備が丸ごと川へ流出した。設備は復旧のめどが立っておらず、現在の貯水タンクにある水が空になれば、一里野の13宿泊施設への水道水供給が止まる。

 水が止まれば食事や風呂、トイレに使う水が確保できない。市は一里野に仮設の給水タンクを配置したが、宿泊施設分までまかなうのは難しい。簡易水道の復旧のめどは立っていない。

 岩間山荘の女将(おかみ)、北村祐子さんは、湯がない空の浴槽を見て「これではお客さんを呼べない」と声を落とした。5、6日に予約していた客には断りの電話を入れ「このままだと満室になっているお盆の予約もお断りをしないといけない」と苦しい胸の内を明かした。

 一方、一里野高原ホテル「ろあん」は6日以降、宿独自の設備で川の水を浄化して使い、営業する。風呂は、近隣の施設に客を送迎して対応する。それでも、山﨑太一朗社長は「できる限りの対応をするが、お客さんが増えると水が足りない」と不安をのぞかせる。

 白山一里野温泉観光協会の穴田慎一会長は、白山白川郷ホワイトロードの通行止めにも触れ「水も道もなく、死活問題だ」と苦い表情で話した。

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