●書き入れ時直撃 電気設備の不具合
黒部峡谷鉄道(黒部市)が運行するトロッコ電車は31日、電気設備の不具合のため午後の便11本が運休した。同社は約390人に影響したとしている。原因は分かっておらず、8月1日は終日運休する。夏休みの行楽客でにぎわう書き入れ時の不意打ちに、復旧、運行再開のめども立たず、関係者は頭を抱え込んだ。
●観光客、回送便で戻る
同社によると、午前11時半ごろ、沿線の猫又にある電力供給施設の設備に不具合が生じ、電車を走らせる電力を安定的に供給できなくなった。このため、往路の宇奈月発欅平(けやきだいら)行き午後0時9分発以降の5本、復路の欅平発宇奈月行き同1時10分発以降の6本を運休した。
不安定な電力供給ながら速度を落として走行は可能だったため、運休便より前に欅平方面に上がった乗客のため回送便を4本走らせ、10~20分程度の遅れで午後6時過ぎまでに宇奈月駅に戻った。
影響人員の約390人は、欅平行き運休分の予約客と当日発券客の人数。それ以外にも夏休みの日曜とあって多くの家族連れらが訪れ、宇奈月駅まで来て、初めて全面運休を知り残念がる人の姿も見られた。
同社はこの約390人に加え、回送便に乗って戻った客の乗車料金も払い戻した。石川県から家族で訪れ、回送便で遅れて宇奈月駅に降り立った乗客は「送電トラブルとだけ知らされ、不安だったが、無事戻ることができて良かった」と胸をなで下ろした。
同社担当者は「営業運転期間中の全面運休はこれまで記憶になく、思いがけないトラブルだ。ご迷惑をかけ、深くおわびする。一日も早く運行を再開したい」と話した。