優雅な踊りが繰り広げられるおわら風の盆=2019年9月、富山市八尾町上新町

 毎年9月1~3日に富山市八尾町で行われる伝統行事「越中八尾おわら風の盆」が今年、3年ぶりに開催されることが13日、決まった。新型コロナウイルス感染防止のため、おわらを継承する11町の踊り手や地方衆の競演ステージ、各町で8月20日から11日間行われる前夜祭は中止する。

 富山県民謡越中八尾おわら保存会などでつくる「おわら風の盆行事運営委員会」の総会が13日、富山市の越中八尾観光会館で開かれ、金厚有豊会長が開催の方針を示し、出席者全員一致で合意した。

 開催目的は伝統文化の継承とし、例年より規模を縮小した「小さなおわら」を目指す方針が示された。町ごとに踊りや唄、演奏を披露しながら練り歩く町流しを中心に展開する。グラウンドで各町が競演するステージ演舞は実施しない。

 前夜祭は各町が持ち回りで1日ずつ開催しており、観客が長期間訪れる状況が続くと、感染リスクが高まるとして中止を決めた。

 演者側の感染対策として、各町の踊り手と地方衆ら計約1千人に期間中、毎日、抗原検査を受けるよう求める。8月31日~9月3日の4日間の計4千回分を確保して配布する。踊り手や地方衆は県外在住の帰省者も多く、町流しは観客との距離も近いため、万全を期すことにした。

 総会では、運営委の諮問組織「おわら風の盆開催実現調整会議」がコロナ下での運営方針について運営委に答申した。観客の人流抑制策などについて議論したが、合意に至らなかった。詳しい実施形式は今後詰めていくとしている。

 金厚会長はコロナ下で2年間、中止となったことで伝統文化の継承に危機感を抱いているとし、「踊りを忘れてしまった子どももいる。安全面に十分配慮して何としても開催する」と強調した。

 おわら風の盆は江戸中期から続くとされ、豊作や安寧を願う行事。三味線や胡弓(こきゅう)の音色と唄に合わせ、編み笠姿の住民が三日三晩踊り明かす。富山県を代表する伝統行事として知られ、期間中は国内外から毎年約20万人が訪れる。

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