献花台を前に手を合わせる来館者=氷見市潮風ギャラリー

藤子Ⓐさんの生家・光禅寺に駆け付けたファン=氷見市丸の内

  ●「憎めないキャラ楽しませてくれた」

 日本を代表する漫画家で元富山新聞記者の藤子不二雄Ⓐさんの訃報から一夜明けた8日、出身地の氷見市では、市庁舎と市潮風ギャラリーに献花台と記帳台が設けられた。市民や富山県内外のファンが別れを惜しんで訪れ、生家の光禅寺には花束を手に駆け付ける姿もあった。藤子Ⓐさんの人気キャラクターがあふれるまちなかには観光客が続々と足を運び、天国に旅立った漫画界の巨匠へ「ありがとう」の声があふれた。

 市潮風ギャラリーには午前10時の開館から県内のほか、東京や大阪、愛知、岡山などのファンが続々と訪れ、献花台に花を手向けた。

 藤子Ⓐさんの作品グッズを手掛ける氷見市の特殊印刷会社「トライ・プリント」の中村豊社長(57)は14年前、藤子Ⓐさんの名誉市民祝賀会で会話したといい「『僕が生きている間にたくさんグッズを作ってくれ』と優しく声を掛けてくれた。記念写真は一生の宝物です」としのんだ。

 市内滞在中に訃報を知り訪れた東京の高垣有里子さん(63)は「子どもの頃から大ファン。藤子Ⓐさんの漫画からは夢に向かう人へのエールが感じられ、勇気づけられた」と感謝した。

 林正之市長は献花後、複製原画などギャラリーの展示に見入り「個性的なキャラクターの数々に、改めて偉大さを実感した」と述べた。市庁舎にも記帳が相次ぎ、同市吉滝の仲谷信吾さん(36)は「地元の誇り。天国で藤子Fさんと昔話に花を咲かせてほしい」と話した。

 生家の光禅寺(氷見市丸の内)では、境内にある人気キャラクターの石像の前に、市民やファンが花を手向けた。富山市から夫婦で駆け付けた山口益夫さん(73)は忍者ハットリくんを好み「悪役さえもどこか憎めないキャラクターが魅力的だった。楽しませてくれてありがとう」と語った。

 藤子Ⓐさんの作品が楽しめるまちなかには普段の平日を上回る観光客が訪れ、市中心部の「まんがロード」に並ぶキャラクターモニュメントの前で記念撮影する姿が見られた。

 砺波市からサイクリングで訪れ「忍者ハットリくんカラクリ時計」を眺めた会社員多田雅晴さん(53)は「氷見のまちに作品は残る。思わず笑顔になる街並みだ」と話した。

  ●市図書館で追悼展示

 氷見市立図書館では8日、追悼展示が始まり、漫画「笑ゥせぇるすまん」「怪物くん」のほか、エッセーや伝記など50冊が並んだ。同市薮田の早(はや)一郎さん(71)は「よく喪黒福造(もぐろふくぞう)をまねて『ドーン』とやっていた。もう一度読み返そうかな」と笑顔を見せた。

 8日は計約100人の記帳があった。献花台と記帳台は14日まで設置され、市庁舎では10日まで半旗を掲揚する。

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