海外輸出が大きく伸びている富山の地酒=富山市内

 ●活路求め26年度には700㌔㍑目標

 富山県酒造組合に加盟する酒造メーカーの輸出量が昨年度、過去最多だった2018年度の約176キロリットルを大幅に上回る300キロリットル台に達する見通しであることが6日までに分かった。政府は3月、ユネスコの無形文化遺産に日本酒など「伝統的酒造り」の登録申請を決め、県は26年度の輸出量目標を18年度の4倍となる700キロリットルに設定。国内販売量の減少が続く中、各社は海外に活路を見いだし、さらに売り込みを図る。

 県酒造組合によると、輸出する加盟社は2012年度まで4社だったが、年々増加して昨年度は10社を数えた。15年度から統計を取り始め、輸出量は最多の18年度から、19年度は新型コロナウイルスの影響で約98キロリットルに落ち込んだ。20年度に海外への攻勢を強めて約133キロリットルと盛り返し、昨年度は2月末時点で約290キロリットルに急増した。輸出先は中国や韓国など東アジアが多くを占める。

 一方、国内の販売量は日本酒離れなどで全国的に減少が続き、感染拡大による飲食店の休業が大きく響いた20年度はコロナ前に比べて25%減少し、県酒造組合の各メーカーも例外なく苦戦を強いられている。

 「富山のコメをPRするため、農業を守るためだ」。銀盤酒造(黒部市)の山岸逸人社長は県内、国内の販売を大切にしながら、輸出に注力する理由をこう強調した。

 同社は昨年度、1月末時点で約207キロリットルを輸出し、組合全体の輸出量の大半を占めた。20年度は日韓関係の冷え込みで19年度の約142キロリットルから約35キロリットルまで落ち込んだが、昨年度は韓国への輸出再開に加え、欧米の市場開拓や長く続けてきた現地との直接取引が実を結び、好調だった。

 玉旭酒造(富山市)も1月末時点で、輸出量が20年度の約2倍となる約3キロリットルに増えた。取引する県内外の酒販店が海外販売にシフトしたためで、海外展開の問い合わせも数多くあるという。担当者は「零細蔵だが、新たな商談に対応できるよう積極的に設備投資したい。従来の醸造方法や味わいへの固定概念を捨て挑戦を続ける」と意気込む。

 海外の国際品評会などで高評価を受ける蔵元も出てきた。富美菊酒造(富山市)は昨年度、ロンドンのワイン品評会の吟醸酒部門、パリの日本酒コンクールの五百万石部門でそれぞれトップに輝いた。同社は「富山の素晴らしさを多くの人に伝えたい」としている。

 県は県産農林水産物等品目別輸出促進方針を策定し、17年度から5カ年計画で富山の食の海外PRを進めてきた。日本酒についてはセミナーや商談会などを開いてメーカーの輸出を後押しし、計画最終年度で目標の200キロリットルを超えた。

 ●新たな5カ年計画へ

 今年度からの新たな5カ年では、日本酒にウイスキー、梅酒などを加え、700キロリットル(65億円)の目標を設定し、海外輸出をさらに推進していく。

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