チェックインする宿泊客=七尾市和倉温泉の旅館

 新型コロナ対応で石川県に適用されていたまん延防止等重点措置が解除されて約2カ月、温泉旅館に客足が戻っている。冬場は観光客が落ち込む傾向にあるが、県民向け旅行割事業の再開が入り込みの回復に一役買っており、平日も堅調だ。オミクロン株への懸念が拭えないとはいえ、11月の実績と12月の予約が「コロナ前の8割まで回復した」「Go To特需のあった前年並み」と各施設から喜ぶ声が聞こえる。

 「県民割が再開された10月8日以降、予約が入り始め、11、12月はコロナ前の8割ほどに戻って来た感じ」。そう語るのは辰口温泉(能美市)の旅館「まつさき」の担当者。例年この時期は県外客が多いが、今年は県内客がほとんどで、県民割や能美市独自の旅行割の効果を感じているという。

 山代温泉(加賀市)「白山菖蒲亭」も11月の実績、12月の予約とも「Go To特需」のあった前年並みの好調を維持している。週末(金土日曜)はほぼ満室で、平日も半分ほどの入り込みがある。前川浩克支配人は「県民割、加賀市民割で助かっている。感染が拡大して需要が止まっていた夏に比べるとありがたい状況だ」と話した。

 県外客が好調の施設もある。休日の予約状況がコロナ前と同程度に回復したという和倉温泉(七尾市)のホテル海望は、全体の半分を県外客が占める。担当者は「緊急事態宣言が長引いたことでその分、旅行需要が高まっている」とみる。山中温泉(加賀市)の旅館「花紫」も12月は予約がいっぱい。「平日、休日関係なく忙しい」(山田耕平社長)状況で、東京や大阪の宿泊客も目立つという。

 和倉温泉旅館協同組合によると、加盟22施設の宿泊者は、全国で緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が出されていた9月が2万1952人で、前年同月比55%だった。解除後の10月は4万773人と同78%まで回復した。宮西直樹事務局長は11月は80%超になると見込んでおり、「天気でいうなら今は曇り。大嵐が去って、もうじき晴れ間が見えるところまで来ている」と期待した。

 ただ、「利用のほとんどは個人客」とする施設が多く、担当者が「忘・新年会の団体利用がまったくない」とため息をつく旅館や、1月以降は空きが続く施設もある。

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