VLP社のワクチンを製造しているリポソーム製剤工場=富山市の富士フイルム富山化学・富山第二工場(同社提供)

  タカラバイオと委託契約

 富山市で新型コロナウイルスのワクチンを製造しているバイオベンチャーのVLPセラピューティクス・ジャパン(VLP社、東京)は4日、バイオ産業支援のタカラバイオ(滋賀)にワクチン原薬の製造を委託する基本契約を締結したと発表した。VLP社は今後、滋賀で原薬を製造し、富山でワクチンを完成させる計画で「純国産ワクチンの製造体制を構築し、長期安定供給につなげたい」としている。

 原薬は、ウイルスの遺伝情報の伝達を担うメッセンジャーRNA(リボ核酸)を含む。VLP社によると、これまで米国で原薬を製造後、富山に運んでいたが、輸出規制対応や通関などでワクチンの製造に遅れが生じたケースがあった。

 同社の赤畑渉代表はワクチンの国産体制の構築について「製造の加速化を期待している。実用化後の長期の安定供給につなげたい」とコメントした。

 VLP社は富士フイルム(東京)に臨床試験(治験)用ワクチンの製造を委託しており、富山市の富士フイルム富山化学・富山第二工場で8月末に生産を開始した。微細な脂質粒子で有効成分を包むリポソーム製剤工場を活用している。

 タカラバイオで製造する原薬は、変異株に対応するワクチンの開発、製造に使用される。滋賀県草津市の本社工場で製造予定で「長年の研究用試薬製造で培った技術を活用する」としている。

 同社は大阪大発ベンチャーの「アンジェス」が開発中のDNA(デオキシリボ核酸)ワクチンの製造を受託している。メッセンジャーRNAワクチンの原薬は来年1月をめどに生産できるようにする。

 ★VLP社のワクチン 米ファイザーやモデルナと同様に、メッセンジャーRNA(リボ核酸)を利用する。生体内で増える「自己増殖型」で、現行のメッセンジャーRNAワクチンの10~100分の1の接種量となる。短期間で日本の全人口分の製造が可能で、副反応の低減が期待される。大学など国内6機関と開発を進めている。

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