北國新聞相木販売所・大表さん

 12日未明、白山市北成町の岩岡光治(みつじ)さん(66)方を全焼し、焼け跡から4人の遺体が見つかった火事で、出火当時に現場付近にいた北國新聞相木(あいのき)販売所の配達員大表(おおおもて)龍二さん(69)=同市倉部町=が寝静まっていた周辺の住宅の玄関ベルを押して避難を呼び掛けた。住民の逃げ遅れを防ごうと、とっさに行動した大表さんは「地域が危険な状態を見て見ぬふりはできない」と振り返った。

 大表さんは12日午前1時55分ごろ、同市の販売所から車で配達に出た。同2時20分ごろ、岩岡さん方に朝刊を届けた際は「異常はなかった」という。

 火事に気づいたのはその10分ほど後だった。別方向の配達を済ませ、再び岩岡さん方の横の道を車で通り過ぎた時、「ドーン」という爆発音を聞いた。振り返ると、岩岡さん方の2階の窓から炎が吹いていた。「きゃー」という女性の悲鳴も聞こえたという。

  住民「目が覚めた」

 大表さんはすぐに119番通報し、近くの民家4軒の玄関ベルを3~4回ずつ鳴らして回った。ベルの音で目を覚ました家人が、火事に気づいてほしいとの一心だった。実際、住民の男性(67)は「誰かが鳴らしたベルで目が覚めた」と感謝していた。

 岩岡さん方のガレージの屋根が焼け落ち、燃え移った自動車からクラクションが鳴り始めると、大表さんは危険を感じて避難した。窓ガラスが割れる音も繰り返し聞こえた。やがて消防車両のサイレンが近づいてきた。

 約30年、地区で朝刊を配達している大表さんは「今後も何かあれば、できることをしたい」と話した。相木販売所の高井富士誉(ふじよ)所長は「気が動転する中で素晴らしい対応だ」とたたえた。

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