10月の「食堂」開業に向け改装が進む、とやま市漁協旧水橋支所=富山市水橋辻ケ堂

とれたての魚介類を用いたメニュー試作品(遊水会提供)

パフェのように盛り付けた海鮮丼(遊水会提供)

 富山市水橋地域の漁師らでつくる合同会社遊水(ゆうすい)会は10月、水橋漁港のそばで、新鮮な富山湾の幸を提供する「漁師食堂」を開店する。使われなくなったとやま市漁協旧水橋支所を改装し、漁師こだわりのメニューを提供するほか、観光客への情報発信や住民交流の拠点としての機能を持たせ、地域の活性化を図る。食育や漁のPRなども行い、漁業の担い手確保にもつなげたい考えだ。

  10月開店へ改装

 漁業の担い手不足や老朽化に伴い、全国的に漁協施設の統廃合が進んでいる。旧水橋支所は約12年前に廃止され、長く空き家状態となっていた。水橋地域は飲食店が少ないことから、遊水会は建物を漁協から借り受け、魚介類を地産地消できる「食堂」として活用することにした。県によると、漁協の空き施設を利用して新事業に乗り出す事例は県内で初めてとなる。

 店名は「水橋食堂 漁夫(ぎょふ)」。10月20日の開業を目指し、改装が進められている。外装工事はほとんど終わり、外壁には大きなイカのイラストと看板がお目見えした。店内にはカウンターとテーブルの計33席を用意する。

 料理や運営は、遊水会社員の40代定置網漁師3人と居酒屋経営者が担当する。とれたての魚介類をはじめ、小さなアジやツバイソなど市場に出しにくい魚も使って調理し、低迷する魚価の向上にもつなげる。

 現在、試作した料理からメニューを絞り込んでおり、各種定食のほか、地元が誇るホタルイカのパエリアや、パフェのように盛り付けた海鮮丼などを用意する予定だ。地元の鮮魚店が手掛けた加工品も販売する。

  イベントも開催

 観光客や若者に漁業や魚に関心を寄せてもらうため、店内では定置網漁の様子を収めた動画を流し、富山湾の魚を入れた観賞用の水槽も設置する。親子料理教室などのイベントを開き、富山湾と立山連峰が見渡せる2階建ての屋上を利用したビアガーデンも計画するなど、住民が気軽に訪れ、交流できる場を目指す。

 富山湾岸サイクリングコースが「ナショナルサイクルルート」に指定されたことを受け、自転車を立て掛けるスタンドも用意し、愛好者の利用も促す。

 遊水会代表社員でとやま市漁協副組合長理事の安倍久智さん(41)は「おいしい魚で地域を盛り上げたい。高齢者の雇用の場になればうれしく、観光客にも地元客にも喜ばれる店に育てたい」と話した。

無断転載・複製を禁じます