食中毒が起きた千木町ケアセンター=9日午前11時半、金沢市千木町

 金沢市保健所は9日、同市千木町の介護老人保健施設千木町ケアセンターで、1日に給食を食べた50~90代の男女14人が食中毒の症状を訴えたと発表した。2人が入院し、うち1人が翌2日に亡くなった。食中毒との因果関係は不明。患者の便と給食から黄色ブドウ球菌が検出され、市は提供したニチダン千木町ケアセンター店に対し、9日の1日間の営業停止を命じた。

 市保健所によると、1日に同施設で昼食を食べた入所者41人のうち14人が下痢、嘔吐(おうと)、発熱の症状を訴えた。

 市内で過去30年間に食中毒が原因で死亡したケースはない。入院したもう1人の入所者は快方に向かっており、そのほかの12人は症状が治まっている。

 市保健所は同店で調理し、給食に出された卵グラタンと入所者の便から検出された黄色ブドウ球菌の型が一致したことから、卵グラタンを原因食品と断定した。原因物質を特定するための細菌検査とウイルス検査に1週間程度を要した。

 市内で今年度、食中毒は4件発生し、黄色ブドウ球菌を原因とする食中毒は初めて。黄色ブドウ球菌は耐熱性が高く、通常の加熱調理では無毒化できない。市保健所は食品加熱後の衛生管理や手指の消毒の徹底を呼び掛けている。

  死亡は70代女性 給食提供のニチダン「深くおわび申し上げる」

 ニチダンによると、入院した入所者2人のうち、70代女性が誤嚥(ごえん)性肺炎による呼吸不全のため死亡した。もう一人の90代女性は現在も入院している。ニチダン総務部人事課顧問の畑中賢一氏は「故人のご冥福を心からお祈りし、深くおわびを申し上げる」とコメントした。

 ミキサーで食事をのみ込みやすくした嚥下(えんげ)食のうち、卵グラタンを作る過程で、菌が混入したとみられる。センターの事業所は昨年4月から委託を受けて食事を提供しており、センター内の調理場で作ったものを各フロアの食堂に配っていた。現在は10人ほどが働いている。

 千木町ケアセンターによると、センターには介護が必要な50~100歳代の約150人が入所する。利用者は1日の夕食後から夜にかけて嘔吐(おうと)や下痢の症状が出て、ニチダンに連絡したという。

  センター事務長「怒り心頭」

 4日の昼食以降、センター内の事業所での調理提供は停止され、別店舗の食事を提供している。センターの小西喜夫事務長は「あってはならないことで怒り心頭だ」と語気を強めた。

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