会見で思いを述べる中村さんの妻=富山市内

  「警察の対応明らかに」

 2018年6月に富山市で起きた奥田交番襲撃事件で、警備員中村信一さん=当時(68)=が元陸上自衛隊員島津慧大(けいた)被告(25)=殺人罪などで一審無期懲役、控訴中=に射殺されたのは、富山県警の初動対応に問題があったからだとして、中村さんの妻が県と被告に約2600万円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が8日、富山地裁(松井洋裁判長)であった。県側と被告はそれぞれ請求棄却を求め、争う姿勢を示した。

 冒頭、妻が意見陳述し「警察が近隣住民に避難を呼び掛けていれば、夫は避難し犠牲にならなかったのではないか。交番襲撃から夫が撃たれるまで、警察が何をしていたのか明らかにしてほしい」と訴えた。

 島津被告に無期懲役を言い渡した今年3月の一審富山地裁判決によると、被告は18年6月26日、奥田交番を襲撃し、勤務中だった稲泉健一所長=当時(46)=を刺殺。拳銃を窃取し、約100メートル先の奥田小の正門付近にいた中村さんの頭を拳銃で撃ち殺害した。

 訴状などによると、警察官は被告が拳銃を持っていることを認識していたのに、周囲に避難を呼び掛けなかったとしている。110番通報を受けた県警本部通信指令課の担当者が現場の警察官に避難を呼び掛けるよう指示しなかったことも問題視し、この結果、中村さんは被告に近づき殺害されたと主張している。

 県側と被告はそれぞれ、書面で答弁書を提出し、原告の請求棄却を求めた。県側は認否や具体的な主張を今後明らかにするとした。

 妻の代理人を務める清水勉弁護士は意見陳述で、県警の初動対応について県警本部通信指令課が事件発生を知ってから、中村さんが被告に射殺されるまで約18分間あったと指摘。「県警は住民や通行人を避難させる必要があった」とし、警察官職務執行法に反したと主張した。

 裁判後、妻は会見で「夫は亡くならずに済んだ。同じようなことが2度と起こらないよう強く願って訴訟に踏み切った」と話した。

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