動画収録を前におりんの楽器である久乗編鐘の音を確かめる小川さん=都内(小川さん提供)

 高岡、小矢部市の有志でつくる「高岡音風景の会」が普及を進めてきた高岡銅器の仏具「おりん」の音色が東京五輪の開幕に合わせ、都が展開する文化プログラムの一環として発信されることが決まった。インターネットを通じて万葉集にちなむ楽曲が動画で配信される。「おりんでオリンピック」を合言葉に五輪を通じて高岡発の音色を世界に発信しようと念願しながら、今年3月に悪性リンパ腫で亡くなった元高岡関野神社禰宜(ねぎ)の酒井晶正(あきまさ)さんの思いが結実した形で、会員が感慨を込めている。

  酒井元禰宜の念願

 楽曲は東京の打楽器奏者・小川美香子さんが仏具の「おりん」を演奏用に改良した楽器「久乗編鐘(きゅうじょうへんしょう)」を使い、映画ゴジラの音楽を手掛けた伊福部昭氏作曲の「因幡万葉の歌五首」から一首を演奏する。おりんにフルートやソプラノを組み合わせ、五輪発祥の地であるギリシャにちなんだ「セイキロスの墓碑銘」など計6曲を8月12日、約25分にまとめた動画を撮影し、12月末まで配信を続ける。

 都は東京五輪・パラリンピックが文化の祭典でもあるとして、文化プログラム「Tokyo TokyoFESTIVAL」を開催する。この一環として小川さんのグループは、約7700組の応募から10数組に選ばれた。本来は東京・代々木公園でライブを披露する予定だったが、同公園は新型コロナワクチンの接種会場となったことから動画での出演になった。

 小川さんは欧州の中世音楽にひかれ、おりんが現地の教会の鐘の音色に近いことから魅力にとりつかれた。小川さんは「古代からの人々のさまざまな祈りが現代の皆さんに届くような演奏にしたい」と語った。

 高岡音風景の会の山口敏雄さん(山口久乗会長)、音楽家・雅楽演奏家の太田豊さん=小矢部市出身=が21日、高岡市の同社で会見した。山口さんはおりんが駅の発車メロディーなどに採用された活動を振り返り「高岡発の音色は世界中の人にすてきだなと感じてもらえると思う」と話した。同会の会員だった酒井さんが「おりんでオリンピック」との活動を提唱していたことについて「酒井さんの発想の豊かさが私たちの活動を導いてくれた。おりんと五輪がようやく結ばれた」と喜んだ。

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