記者会見に臨む齋藤学長(右)=富大五福キャンパス

 富大学術研究部医学系の仁井見英樹准教授、小澤龍彦准教授らの研究グループは16日、新型コロナウイルス感染症の多種類の変異株が体内で増殖することを妨げる「スーパー中和抗体」を特定し、人工的に作り出すことに成功したと発表した。軽症や中等症の患者の重症化を防ぐ治療への活用が期待され、今後、製薬企業と連携し、早期の実用化を目指す。

 新型コロナウイルスに感染し、重症から回復した患者の協力を得て、血液から抗体の遺伝子を取り出し、抗体を作製。何種類もの抗体から、特にウイルス感染を防ぐ能力が高く、多数の変異株に効果がある1種を選定した。

 富大独自の抗体取得技術を用いて、従来2カ月以上かかっていた行程を、世界最速レベルの1、2週間に短縮し、目的とする抗体を作り出すことができる。

 スーパー中和抗体は、感染力が強いとされるインド型(デルタ株)を含め、現在知られているほぼ全ての変異株に効果があることを確認している。

  1種類で治療可

 変異株の治療には現在、数種類の中和抗体をまぜ合わせて利用しているが、スーパー中和抗体は1種類で対応できる。ウイルスの突然変異が起こりにくい部分と結合しているとみられ、今後、出現する新たな変異株に対しても効果を持つ可能性が大きい。ウイルス感染を防ぐ能力も高く、富大は現時点で最も理想的なスーパー中和抗体とみている。14日に特許を申請した。

 仁井見、小澤両准教授が出席した記者会見が16日、富大五福キャンパスで開かれ、齋藤滋学長は「治療薬開発にとって大きなインパクトがある研究成果だ」と強調した。北島勲理事・副学長が成果を説明した。

無断転載・複製を禁じます