会見に臨む長谷川社長=都内

 JR西日本の長谷川一明社長は7日、都内で会見し、3月の運輸取扱収入(速報値)がコロナ禍前の2019年同月比で59・0%となり、2月の45・5%から回復傾向にあると説明した。長谷川社長は今月5日に大阪、兵庫、宮城3府県で「まん延防止等重点措置」が始まったことや、ワクチン接種の本格化による収束に期待感を示し、「足元は相当厳しいが、いずれ克服されると思う」と述べた。

 3月の運輸取扱収入を前年同月と比べると、6・7%増となり、20年1月以来14カ月ぶりのプラスに転じた。このうち近距離券は13・5%増、中長距離券は12・0%増となった一方、定期券は4・2%減だった。

 鉄道利用状況(速報値)は北陸新幹線が6%減、山陽新幹線が横ばい、在来線特急が11%減、近畿圏が16%増。長谷川社長は約2カ月半にわたった首都圏1都3県の緊急事態宣言が3月21日で解除されたことによる回復が大きいと分析し、収益改善に向け「引き続き徹底した業務の効率化、コスト削減に取り組む」とした。

 4月の予約状況は1日時点で19年同月比20%にとどまるが、長谷川社長は最近では利用直前に購入する傾向が強いため最終的に大幅に変動する可能性もあると指摘した。

 30日までを予定している社員の一時帰休については「ゴールデンウイーク以降も大きな変化はないのではないかと見ておくべき」と慎重な姿勢を示した。

  地方暮らし実証 北陸でも検討

 JR西は7日、都市部から離れた地域への移住者に割安で鉄道を使ってもらおうと、滋賀県、京都府、兵庫県の3市と連携し、特急料金などを定額にする実証実験を始めると発表した。

 新型コロナの流行で通勤回数が減り、郊外への移住に関心が高まっていることに対応する。地域の生活拠点と都市部への交通手段を支援し、地域活性化と鉄道利用の促進を目指す。長谷川社長はニーズを調べた上で北陸も含め全国で連携を検討するとした。

  「すぐ決めることできない」 大阪延伸財源の貸付料

 長谷川社長は北陸新幹線大阪延伸の建設財源として見込まれる貸付料(JRが国に支払う線路使用料)について、「受益の範囲内であって、建設費の多寡とは連動しない。金額をすぐに決めることはできない」と述べ、早期に増額交渉をまとめたい政府与党をけん制した。

 財務省は貸付料の支払期間を現行の30年から50年に延ばすべきと主張しており、与党の敦賀―新大阪間整備委員会は22年末までに増額交渉を終えたい考えだが、長谷川社長は早期解決は容易ではないとの認識を示した。

 一方、全線開業に対しては「新大阪まで延伸されてこそ本来の形になる」と必要性を認めた上で、建設財源を巡る新しいスキームの議論があれば参画していくという従来の方針に変わりはないとした。

無断転載・複製を禁じます