フィギュアスケートの世界選手権が27日、ストックホルムで行われ、男子で五輪2連覇の羽生結弦(26)=ANA=はショートプログラム(SP)首位から逆転を許し、銅メダル。4年ぶり3度目の世界一を逃した。SP3位のネーサン・チェン(21)=米国=が合計320・88点で3連覇。来年の北京冬季五輪では羽生や初出場で銀メダルと躍進した鍵山優真(17)=神奈川・星槎国際高横浜=ら日本勢の最大のライバルとなる。
 羽生は会心のSPでライバルのチェンに8・13の点差を付け、4年ぶりの世界選手権王座に迫っていた。一方、SPでチェンは得点源の4回転ルッツで痛い失敗。回転不足となって転倒し、出遅れた。

 ただ、フリーの構成をそれぞれ直近の国内選手権で比べると、基礎点はチェンが8点ほど上だった。同じ構成だとすれば、フリーのパフォーマンス次第でメダルの色が変わる。SPでは大舞台に照準を合わせた五輪王者羽生の強さが際立ち、チェンは心なしか元気がなさそうにも見えた。五輪前哨戦の世界選手権で最も注目された頂上決戦、その行方は―
 先にリンクに立ったチェンは、落ち着き払っていた。「この場を楽しもうと自分に言い聞かせた。これから何度、世界選手権で戦えるのか分からないのだから…。4回転ルッツを跳んで、次に進む」。

 そして、思い通りに4回転ルッツを鮮やかに決め、出来栄えで4点近くの加点を得た。大技を決めた後は、いつもの揺るぎのない強さが戻っていた。4種類5度の4回転ジャンプをはじめ、12の要素全てに出来栄えで加点がつく完ぺきに近い内容。自己の持つ世界最高得点224・92に迫る222・03点をたたき出した。

 立ち直ったライバル。羽生がチェンの合計得点を超えるためには、自己ベストの212・99点を超えなければならない。演じるのは非公認ながら昨年の全日本選手権で215・83点をマークしているプログラム「天と地と」。王座奪還へ期待は高まった。

 しかし、ひとつのミスも許されない状況に羽生は追い込まれていた。気合十分の表情で滑り出したが、最初のジャンプ4回転ループの着氷で手をつき王座は遠ざかった。続く4回転サルコーも回転不足となり、ランディングで腰が落ち転倒しかけた。

 「自分のバランスが一個ずつ崩れていった」。得意のトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)も2度とも決まらない。ともに単発となり2度目はルールにより基礎点も下がった。結局、出来栄えで2点以上の加点を得たジャンプはたった1本。質の高いジャンプを誇る羽生が「最後まで回転軸を取り切れなかった」と嘆いた。

 屈辱的な結果を受け入れ、歩みは止めない。視線は早くも来年の北京冬季五輪に向いている。競技人生の最終目標、クワッドアクセル(4回転半ジャンプ)は完成までもう少しという。「早く4回転半の練習をして、誰よりも早く公式戦で決める人間になりたい」。超大技で前人未到の五輪3連覇を狙う。

羽生結弦が目指すクアッドアクセル(4回転半ジャンプ)
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