島津慧大被告=2018年10月

 2018年6月に発生した富山市の富山中央署奥田交番襲撃事件で、強盗殺人と殺人などの罪に問われた元自衛隊員島津慧大(けいた)被告(24)=立山町末三賀=の裁判員裁判第12回公判が9日、富山地裁(大村泰平裁判長)で開かれた。前日に続き最終弁論が行われ、弁護側は「更生の可能性がある」と主張し、無期懲役を求めた。被告は最終陳述を黙秘し、初公判から無言のまま結審した。判決の言い渡しは3月5日の予定。

【奥田交番襲撃事件 最終弁論要旨】

 8日の論告求刑公判が長引いたため、弁護側の最終弁論の途中から審理を再開した。

 弁護側は、他人に共感したり自分の気持ちを理解したりすることが苦手な自閉症スペクトラム障害の影響で、被告は人間関係をうまく築けなかったと説明した。子どもの頃にいじめや体罰を受け、問題解決手段として暴力に頼るようになったとし「障害は生まれつきのもの。どうしようもない事情もあった」と述べた。

 この障害の影響で被告の殺人への抵抗感が低くなっていたとし「(事件当時)責任能力が低下していた」と主張。情状酌量を求め「極刑がやむを得ないとは言えない」と強調した。

 更生の可能性についても言及した。自閉症スペクトラム障害の適切な療育と支援が必要とした上で「被害者や遺族の痛みを知るために、長い時間を与えてやってください」と訴えた。

 争点となっている強盗殺人罪についても改めて成立を否定し、殺人と窃盗罪が妥当とした。

 最終意見陳述では、被告は刑務官に車いすを押され、証言台の前へ移動した。大村裁判長が「何か言っておきたいことはありますか」と尋ねたが、前をじっと見詰めたまま全く動かなかった。1分近く沈黙が続いた後、裁判長が「答えがないということで終わります」と述べ、結審した。閉廷の際に全員が起立して礼をする間も、頭を下げなかった。

 被告は1月14日の初公判の人定質問、罪状認否、同29日の被告人質問で全ての質問に黙秘を貫いた。証人尋問で両親や遺族が出廷しても無表情のままで、ほとんど反応を示さなかった。

 起訴状などによると、18年6月26日、奥田交番で稲泉健一所長=当時(46)=を刺殺して拳銃を奪い、近くの奥田小の正門付近にいた警備員中村信一さん=同(68)=の頭をこの拳銃で撃ち、殺害したなどとしている。

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