久しぶりに再会し、握手を交わす店主と客=11日午前11時25分、七尾市一本杉町

地震が起きても割れなかった食器を手にする客

子どもに声を掛ける若村さん(左)

  ●再会の場で再開誓う

  ●「いらっしゃいませ」言えることに感謝

 七尾市の一本杉通りで11日、被災した店舗が出店する「一本杉復興マルシェ」が開かれ、静まり返っていた通りににぎわいが戻った。「大丈夫やった?」「元気そうで良かった」。久しぶりに再会した顔なじみの客と店主が目に涙を浮かべながら互いの無事を喜んだ。「ここから復興への一歩を踏み出す」と、店主たちは諦めることなく、前を向いた。(七尾支社・齋藤圭祐)

 和菓子店やカフェなどの11店舗がブースを並べた。開始15分ほどで売り切れが出る盛況ぶりに、こちらもうれしくなった。

 「みんなの元気な顔が見られて良かった。商店街が復活するのをみんな期待しとる」。商店街の常連だった沢野佳代子さん(83)=七尾市富岡町=は久しぶりに通りを訪れ、店主らにエールを送った。

  ●9割営業できず

 元日、七尾支社で勤務中に揺れに襲われ、外に出て真っ先に目に入ったのが、一本杉通りの甚大な被害だった。あれから1カ月余り、通りには倒壊した店舗や外壁が剝がれたままの建物が多く残る。約40軒の9割がまだ営業を再開できていない。

 輪島塗や九谷焼などの伝統工芸品を扱う「漆陶舗あらき」では、地震で多くの漆器、陶器を失った。地盤沈下で建物にも被害を受け、営業再開のめどは立っていない。

 この日は無事だった食器類を販売。若女将(おかみ)の新城礼子さん(62)は「『いらっしゃいませ』『ありがとうございます』が言えることに感謝したい。石川の伝統を絶やさないために、何があってもやっていかないと」と話した。

  ●今後も開催

 劇団「無名塾」出身で、18歳の頃から合宿で七尾に訪れてきた俳優若村麻由美さんも駆けつけ、販売や運営を手伝った。

 主催した一本杉通り振興会は今後も1カ月に1回、マルシェを開催する予定だという。次回は3月2日に開かれる。高澤久会長(51)は「心配していたが、多くの人が来てくれて良かった。復興の足掛かりにしていきたい」と話した。

 「出会いの一本杉」として親しまれた一本のスギがあったことが名前の由来とされる一本杉通り。再び出会いの場となったマルシェで生まれた絆は、復興への大きな力になるに違いない。

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