愛猫「虎丸」との再会を喜ぶ徳和さん夫妻=羽咋市吉崎町

 羽咋市吉崎町の会社員徳和良太さん(42)が、能登半島地震で行方が分からなくなっていた6歳の愛猫「虎丸」と約1カ月ぶりに再会を果たした。志賀町堀松にある妻絵莉子さん(41)の実家から姿を消して以降、望みを捨てず周辺を探し回った家族3人の切なる願いがかなった。徳和さん夫婦は「ようやく家族がそろい、笑顔が戻った」と、自宅でエサを頬張る虎丸をなで、目を細めた。

 徳和さん夫妻は元日、虎丸を連れて堀松に里帰りし、親戚14人で一緒にくつろいでいたところ、大きな揺れに見舞われた。居場所の分からない虎丸を気に掛けながらも、大津波警報が発令されたため、慌てて高台に避難した。

 その後、志賀町内の避難所に移ったが、虎丸が心配で眠れぬ夜を過ごした。翌朝、良太さんが絵莉子さんの実家を見に戻ると、建物被害が大きく、玄関戸は壊れて開きっぱなしになっていた。「トラちゃん」。その場で何度も名前を呼んだが気配はなかった。

 迷子になったペットを捜す県外の専門家から助言をもらい、交流サイト(SNS)で情報提供を呼び掛けたほか、堀松の空き地に動物用の防犯カメラ2台を設置させてもらったり、チラシ1千部を作って周辺に配ったりもした。

 仕事の前後に堀松の住宅地を中心に毎日探し回っている最中にも「似た猫がいる」と数件の情報が寄せられたが、発見には結びつかなかった。大雪や雨で気温が一気に下がる日もあったため「もうダメかなと半分以上諦めていた」という。

 しかし、30日午前10時ごろ、良太さんが堀松の寺を通り掛かったところ、待ち続けた瞬間が訪れた。境内の墓の奥からつぶらな瞳で見詰めてくる猫と目が合った。「トラちゃん」と呼び掛けると足元まで近づいてきて、ニャーと小さく鳴いた。「よう生きとってくれた」。抱きかかえる手が震えた。

 体重は1・5㌔ほど痩せていたが、すぐに羽咋市内の動物病院で診てもらい、問題はなかった。自宅に戻ってからは地震前に増して元気よく動き回っている。

 虎丸は6年前、長女(14)の誕生日に飼い始め、家族の一員として外出の時にもよく連れて行った。徳和さん夫婦は全ての人の協力に感謝し、「地震でペットと離れ離れになった人も多いと聞く。心の復興の助けにもなるよう、一刻も早く再会できることを祈っている」と話した。

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