タイワンタケクマバチの雌(めす)

タイワンタケクマバチの雄(おす)(上)と雌

雄のタイワンタケクマバチ

雌のタイワンタケクマバチ。雄との違いを比べてみてほしい

在来種のキムネクマバチ。胸の部分が黄色だ

ムラサキツメクサの蜜を吸うタイワンタケクマバチ

タイワンタケクマバチが竹に作った巣穴

 石川県(いしかわけん)ふれあい昆虫館(こんちゅうかん)は展示企画(てんじきかく)「職員(しょくいん)イチオシの虫」を実施(じっし)している。職員(しょくいん)が「この虫を見てほしい」と推(お)す昆虫(こんちゅう)を紹介(しょうかい)する企画(きかく)で、「石川県(いしかわけん)の昆虫(こんちゅう)」コーナーで楽しめる。

 年4回入(い)れ替(か)えがあり、現在(げんざい)は台湾(たいわん)や中国、インドなどに分布(ぶんぷ)する「タイワンタケクマバチ」を7月10日まで展示(てんじ)している。体長約(やく)2センチ。体全体(からだぜんたい)が黒色をしたミツバチ科のハチだ。強靱(きょうじん)な大あごで硬(かた)い竹でも穴(あな)を開(あ)けて、その中に巣(す)を作る。国内の在来種(ざいらいしゅ)「キムネクマバチ」に似(に)ているが、そちらは胸(むね)が黄色だ。

 もともと日本にはいなかった外来種(がいらいしゅ)で、2006年に国内で初(はじ)めて愛知県(あいちけん)で確認(かくにん)された。中部地方(ちゅうぶちほう)を中心に分布(ぶんぷ)を拡大(かくだい)し、石川県内(いしかわけんない)では18年に白山市千代野東(はくさんしちよのひがし)で雌(めす)が1匹(ぴき)採集(さいしゅう)された。21年以降(いこう)、北から津幡(つばた)、金沢(かなざわ)、白山(はくさん)、能美(のみ)、小松(こまつ)、加賀(かが)の6市町で確認(かくにん)されている。すでに加賀北部(かがほくぶ)と南部(なんぶ)にかけて広く生息(せいそく)していると考えられている。

 日本には中国の竹材(たけざい)などが輸入(ゆにゅう)された際(さい)に侵入(しんにゅう)したとみられる。穴(あな)を開(あ)けられた竹の価値(かち)が落(お)ちたり、竹ぼうきに作られた巣(す)に気付(きづ)かずに使(つか)って刺(さ)されたりする被害(ひがい)もあるという。

 館内(かんない)では生態(せいたい)の解説(かいせつ)に加(くわ)え、標本(ひょうほん)や穴(あな)を開(あ)けられた竹を展示(てんじ)している。竹にハチは入っていないので安心(あんしん)して触(さわ)ってほしい。生きたタイワンタケクマバチも5~6月頃(ごろ)まで展示予定(てんじよてい)だ。石川卓弥学芸員(いしかわたくやがくげいいん)は「県内(けんない)の分布状況(ぶんぷじょうきょう)を調(しら)べているので、見慣(みな)れない黒いクマバチを見掛(みか)けたら昆虫館(こんちゅうかん)まで連絡(れんらく)してほしい」と呼(よ)び掛(か)けている。

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