ペンギンの展示場に設置された野鳥よけのネット=能美市のいしかわ動物園

 石川県は11日、金沢市内で4日に見つかったハヤブサの死骸から検出された鳥インフルエンザウイルスが、高病原性と判明したと発表した。感染力が強く致死率が高いとして、県内全ての養鶏場などに注意を呼び掛けている。県内で高病原性ウイルスに感染した野鳥が確認されたのは2017年1月以来通算3例目。国内では昨秋以降、過去にないペースで感染が広がっており、市内で8日に死んでいるのが見つかったフクロウについても高病原性か調べている。

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 ハヤブサの死骸は6日に鳥インフルエンザ陽性が確認されていた。国立環境研究所が詳細検査を行った結果、全国で流行している高病原性ウイルス「H5亜型」だと確認された。

 県は周辺住民への配慮を理由に死骸が見つかった場所を明らかにしていないが、金沢市北部エリアとみられる。環境省は6日、死骸の回収地点から半径10キロ圏内を野鳥監視重点区域に指定し、県は7日から同区域で監視パトロールを行っている。高病原性と判明したことを受け、パトロールは2月上旬まで継続し、県内で新たな高病原性の個体が確認された場合は延長する。

 養鶏場などの家禽(かきん)飼養施設で感染が確認された場合、その施設の家禽類は全て殺処分しなくてはならない。県内では2017年1月に野生のヒシクイ2羽から高病原性ウイルスが検出されたが、その際は飼養施設での感染は起きなかった。今回も11日時点で施設での感染は確認されていない。県は各施設に対し、人や小動物などの出入り制限を強化するよう求めた。

 鳥インフルエンザウイルスは通常、人に感染しないと考えられているが、県は鳥の排せつ物などに触れた場合は手洗いやうがいをし、死んだ野鳥を見つけた際は県や県農林総合事務所、市町役場に連絡するよう呼び掛けている。

 県は13日、鳥インフルに感染した家畜の殺処分などを行う防疫作業員の移動を円滑にするため、県バス協会と協定を結ぶ。鳥インフルに関する県の協定は、県建設業協会、県ペストコントロール協会に続き3件目となる。

 馳浩知事は11日、高病原性ウイルスの検出を受け「感染の広がりが速いと聞いている。最悪の事態を想定して対応していく」と述べ、関係機関と連携して対策を強化する考えを示した。金沢市内で記者団に答えた。

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