●高校レベルの技術を指南 毎週日曜
高岡一高ラグビー部は高岡市のジュニアラグビークラブと合同練習を始めた。高校生と小中学生が毎週日曜日にともに汗をかいてジュニアの競技力を底上げし、少子化で競技人口が減る高校ラグビーの盛り上げにつなげる。スクラムを組んで裾野を広げる試みであり、高校ラグビーの聖地「花園」で全国大会の決勝が行われた7日、ラガーマンたちは「富山から全国で勝てるチームを送り出したい」と意気込んだ。
合同練習を提案したのは、高岡一高ラグビー部の吉田治夫監督(56)。ジュニア選手が地元高校に親しみを持ち、進学するきっかけになればと考えた。2022年12月上旬に初の合同練習を行った。
冬場は同校体育館に高校生と小中学生が集う。パスなどの基礎的な練習は小学校高学年から高校生まで一緒に行い、ジュニアと高校の指導者がそれぞれのレベルに合わせ助言する。
タックルなどのコンタクトプレーでは中学生以上の選手がぶつかり合う。芳野中2年の青木寛大さん(13)は高校生にタックルで挑み「高校のレベルを体感でき、成長につながる。技術を学んでいきたい」と充実した表情で話した。
合同練習は高校生の刺激にもなっている。天理大に進学してラグビーを続ける3年の四日千尋さん(17)は「プレーの基礎、土台を固めるのに良い機会になる。一緒に成長したい」と笑顔を見せた。
●「県内進学し続けて」
吉田監督らによると、県内のジュニアスクールなどの選手が県外の強豪校に進学したり、県内で進学後、別のスポーツを始めたりするケースが相次ぐ。高校の選手層が厚くならず、富山の競技水準が上がらない一因として指摘されてきた。近年は保護者が、けがを心配して入部に反対するケースもあるという。
合同練習では児童生徒の保護者が選手を送迎する際に練習風景を目にし、ラグビーに理解を深める機会にもなる。吉田監督は「ジュニアが高校進学後もプレーを続けるようラグビーの楽しさを生徒と一緒に伝えていきたい」と語った。
●県内の競技人口減深刻 少子化の影響受け 現在9校、約190人
富山県内のラグビー人口は減少傾向にある。全国高校体育連盟の記録によると、2003年時点で県内でラグビー部のある高校は11校、部員数278人だったのに対し、現在は9校、約190人。部員数の減少率は野球部の13%、サッカー部の10%を上回る32%と深刻だ。
大阪府東大阪市の花園ラグビー場で開催される全国高校ラグビー大会も少子化の影響を反映している。今大会の鳥取県予選では3校しかエントリーしなかった上、2校が負傷などでチームを組めず、倉吉東が公式戦を経ずに代表に決まった。
富山県の高校ラグビー史を振り返ると、花園に出場したのは1951年の富山南部高(現富山高)が初で、54、56年には魚津高が初戦を突破した。
これまでに県内の高校が花園に57回挑んだが、1勝が11回で、2勝を挙げたチームはない。近年では2014年に高岡一高が1回戦で近大和歌山に勝利したが、それ以降、8年連続で初戦敗退となっている。花園の勝利数ランキングでも富山県は11勝57敗1分と43位に落ち込んでいる。