●半径10キロ圏、警戒強化
石川県は6日、金沢市内で見つかった野生のハヤブサ1羽の死骸から、国の遺伝子検査でA型鳥インフルエンザの陽性反応が出たと発表した。県内での鳥インフルの陽性確認は2017年以来で3例目。致死率の高い高病原性であるかは確定しておらず、環境省は発見地点の半径10キロ圏内を野鳥監視重点区域に指定し、パトロールを強化する。県、金沢市は緊急会議を開き、まん延防止対策に取り組むことを確認した。
●県、市が緊急会議
県によると、4日に死骸を市民が見つけ、通報を受けた県職員が個体を回収した。同日の簡易検査では陰性だったが、その後、国立環境研究所での遺伝子検査では陽性だった。
県によると、発見地点の半径3キロ以内でニワトリ3羽が飼われており、6日中に立ち入り検査し、異常がないことを確認した。県は、周辺住民への配慮を理由にハヤブサが発見された詳しい場所を公表していない。
高病原性かどうかは確定まで1週間程度かかるという。それまでは高病原性であるとの前提で、県職員が10キロ圏内のため池や河川敷など20地点をパトロールする。
陽性確認を受け、県は6日、県庁で対策警戒本部会議を開き、担当者が情報を共有した。本部長の石井克欣農林水産部長は「日常生活では人に感染しない。鳥の排せつ物に触れた後には手洗いとうがいをしてほしい」と冷静な対応を呼び掛けた。
金沢市も危機管理連絡会議を開き、市内の養鶏場と鳥を扱うペット業者13社、保育所などに注意喚起の文書を出した。
●関係者、消毒進め
全国では昨年10月から過去最多、最速ペースで鳥インフルの感染が拡大している。野鳥の感染を除いた国内での発生は、6日時点で23道県の計55事例となっている。
県は昨年12月から飼養施設99カ所を対象に消石灰を散布している。能美市のいしかわ動物園は6日、鳥類の飼育舎13カ所に消石灰をまき、車両用の消毒も設置した。昨年から鳥類の展示は一部中止している。
17年1月に鳥インフル陽性の野鳥が見つかった加賀市の片野鴨池では、観察館の担当者が「県から指示があれば迅速に対応したい」と話した。片野鴨池で行われている石川県有形民俗文化財「坂網猟(さかあみりょう)」の猟師が使う番小屋では、鳥インフル対策として猟の後に長靴などを消毒している。
県養鶏協会の中山真一会長は「県と情報を共有し、防疫を強化したい」とした。