後半に攻め込む富山一イレブン=千葉県市原市のゼットエーオリプリスタジアム

自陣ゴール前で競り合う主将のGK辰島

 第101回全国高校サッカー選手権第3日(31日・千葉県市原市のゼットエーオリプリスタジアムほか)8年連続33度目出場の富山一は初戦の2回戦で高川学園(山口)と対戦し、0―2で完封負けを喫した。前半にこぼれ球の処理の甘さとPKで2失点し、苦しい展開に。後半に猛攻を仕掛けたが、相手の堅守にはね返された。1点が遠く、2年連続の初戦敗退を喫した。

 選手権常連校同士の一戦は、前半開始から球際で激しく競り合う展開となった。6分、高川学園のフリーキックを主将のGK辰島尚悟(3年)がこぼし、相手のシュートを一度は仲間がブロックしたものの、その流れから強烈なミドルシュートを突き刺され、早々に先制点を奪われた。

 17分にはペナルティーエリア内に切り込んだ相手の2年生エースをDF田畑航成(同)が体を入れて止めにいったが、ペナルティーキック(PK)を献上し、決められた。富山一は終盤、サイドを起点に押し込んだが、実らなかった。

 後半6分、富山一は県大会で出場機会のなかったFW川原瑠偉(2年)を投入。ドリブルに定評のある「秘密兵器」の活躍でサイド攻撃が活性化し、好機を増やした。DF深井仁(3年)の突破力も光った。

 29分には相手に退場者が出て数的優位に。後半だけで相手より4本多い6本のシュートを放つなど、ゴールに迫ったが、猛反撃もむなしく相手の堅守をこじ開けることができなかった。

  ●前半2失点、1点遠く 辰島主将「最高のチーム」

 富山一は持ち味の球際の強さが裏目に出てしまった。前半に積極的にボールを取りにいったところでファウルを取られ、早い時間に立て続けに失点した。柳野年秀監督は「最初の15分まで『強くいけ』と言っていたのだが、それが空回りになった」と目を伏せた。

 前半6分、ハーフウエーライン付近の相手FKの流れから先制を許すと、17分にPKを与えた。相手の県大会の映像を全て見て研究していたというGK辰島は、キッカーに「全部(GKから見て)右に蹴っていたよね」と告げて心理的な揺さぶりをかけた。

 辰島にとって、ドッジボールに取り組んだ小学生時代の経験はボールへの果敢な飛び付きにもつながっている。この日も思い切って右に跳んだが、わずかに届かなかった。

 初戦敗退した前回大会の反省から選手だけで開くミーティングを取り入れ、練習の新メニューを考案するなど再起を図っていた。県大会は4試合で32得点無失点と、圧倒的な力を発揮。夏以降に磨きをかけた決定力を全国の舞台で生かせなかったが、主将の辰島は「準備は良かった。最高のチーム」と最後に胸を張った。

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