HIFUの施術について注意を呼び掛ける佐々木主任教授=金沢医科大病院

HIFUの施術後に急性白内障を発症した女性の目(佐々木主任教授提供)

  ●金沢医科大医師ら、論文を発表

 金沢医科大眼科学講座の生駒透医師らは1日までに、美顔や痩身(そうしん)効果をうたい、顔や体に超音波を当てる機器の施術で急性白内障を発症したとみられる事例を論文にまとめ、英国の専門誌で発表した。この施術を巡っては国の消費者安全調査委が7月、利用者へのリスク説明が不十分だとする中間報告を公表。論文を監修した同講座の佐々木洋主任教授は「美容のための施術で視力を奪われるなど、あってはならないことだ」と強調した。

【近視と内斜視】スマホ長時間見ると危険 屋外活動減少も懸念

 施術に使われるのは、HIFU(ハイフ)と呼ばれる高密度焦点式超音波機器。顔のしわやたるみを改善する美顔効果や痩身をもたらすとして、美容クリニックやエステサロンで使われている。金沢医科大病院眼科には昨年、石川県内の40代女性が、この施術の後に視力が極端に低下したとして受診に訪れた。

 女性は、上まぶたのたるみを治療する目的でエステサロンを訪れ、両上まぶたにHIFUによる施術を受けたという。その日の夜に、女性は左目のかすみを発症し、病院で白内障と診断された。「元の視力は両目とも1・0だったが、施術後は左目が0・1未満に低下していた」と生駒医師は語る。

 約1カ月の経過観察を経ても回復しなかったため、左目の水晶体を再建する手術を実施し、女性の視力は1・5に上がった。佐々木主任教授によると、HIFUを行う際は本来、目元を保護するためのアイガードを装着しなければならないが、この女性の場合は無かったという。

 HIFUは施術方法によっては、しびれややけどを負うリスクもある。消費者庁と国民生活センターが共同運用する事故情報データバンクによると、2015年11月~22年5月に全国で110件の事故が報告されている。

 国民生活センターは17年3月に「HIFU施術は医師の医学的知識や技能が必要であり、エステで受けるのは控えてほしい」と注意を促した。消費者安全調査委は今年7月26日に公表した中間報告で「法規制の在り方を検討し、エステ業界の実態をさらに調べる必要がある」と指摘。エステ業界の主要団体も会員に施術禁止を呼び掛けている。

 佐々木主任教授は「目の周囲にこの施術を受ける際は、アイガードの装着を徹底するよう周知していくべきだ」と語った。論文は英国の眼科学専門雑誌「BMC Ophthalmology」に掲載された。

 ★高密度焦点式超音波(HIFU)機器 超音波を特定の部位に集中的に当て、体の表面を傷付けずに皮下組織を直接加熱して破壊できる。前立腺がんの治療などに用いられている。

無断転載・複製を禁じます