大相撲名古屋場所(7月10日初日・ドルフィンズアリーナ)の新番付で、元大関朝乃山(富山市呉羽町出身)の再起に向けたスタートラインが西三段目22枚目に決まった。しこ名を「朝乃山広暉(ひろき)」に改め、下の名前を初土俵の時と同じ本名に戻し、不退転の覚悟を示す。地元富山からは「ものすごく長かった」「ここからがスタート」と待望の声が上がり、復帰の土俵に立つ朝乃山の姿を心待ちにしている。

 これまでのしこ名・朝乃山英樹の「英樹」は、2017年1月に亡くなった富山商高相撲部監督の恩師である浦山英樹さんからもらったものだ。最初のしこ名は本名のまま石橋広暉だったが、浦山さんが亡くなった直後、新十両昇進が決まったのを機に朝乃山英樹に変えた。「広暉」を使うのはそれ以来になる。

 浦山さんの父松男さん(74)=富山市大塚=によると、しこ名を変えることについて、朝乃山から事前に浦山さんの妻に電話があったという。詳しい理由は聞いていないが「『先生の名前を使うのは申し訳ない』と思ったのではないか」とおもんぱかる。

 ただ、恩師の名前を捨てたわけではない。朝乃山の「山」には、浦山さんの名字の一字が込められている。原点に立ち戻り、一から出直すとの思いがにじむ。

 先日、松男さんは自宅を訪れた朝乃山に「頑張ってはい上がれ」と声を掛けた。松男さんは「息子も天国で『はい上がってくるしかない』と思っているはずだ」と話した。

  ●「一日も早く関取に」

 富山県内からは奮起を期待する声が相次いだ。

 朝乃山富山後援会副会長で、呉羽地区自治振興会長の北森正誠さん(74)は「3場所連続で全勝すれば十両に入れると思う。一日でも早く関取に戻ってほしい」と願う。呉羽会館でのパブリックビューイングは十両に復帰してからの再開を検討。名古屋場所に向け、会館前にのぼりを設けることにしている。

 朝乃山の実家が近い貴船巻公民館長の田口昌幸さん(70)は「ここからがスタート。一歩一歩頑張って」とエール。朝乃山に富山の水を送るなど支援を続ける福田敏彦さん(63)=富山市=は「また応援できる日がやっと来た」と喜んだ。後援会員の小林福治さん(73)=富山市=は「相撲人の前に、社会人としての自覚を胸に相撲道に励んでほしい」と求めた。

 朝乃山を応援する「富山を楽しくする会」の長谷川敏博さん(71)=富山市=は、同市古沢の県道沿いに大型のぼりを新たに掲げる準備を進め、朝乃山の絵と「初心にかえって真っしぐら」の言葉を記す予定だ。

 富山県相撲協会の川島国会長は「練習に精進し、大関と言わず横綱を目指して頑張ってほしい」と話した。

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