7月の飯田燈籠山祭りに向け、準備を進める住民=珠洲市飯田町

 震度6弱の地震から1週間を迎えた珠洲市では26日、珠洲の夏祭り開幕を告げる7月の「飯田燈籠山(とろやま)祭り」に向けた準備が始まった。この数日、大きな揺れがなく、住民の不安も若干和らぐ中、曳山の進路を変える用具の製作に汗を流した男衆は、コロナで3年ぶりとなるにぎわう夏を取り戻すためにも「地震からの復活の狼煙(のろし)を盛大にあげたい」と意欲を新たにしている。

  ●男衆「元気の源」

 「準備だけでも、力がみなぎってくる。やっぱり祭りは元気の源や」

 飯田町栄町の住民15人は26日、曳山の巡行に欠かせない木製道具「テコ棒」の製作を黙々と進めた。かんなを使って持ち手部分の太さを調節したり、先端の角度を整えたりと、細かい作業に疲れも見せずに取り組んだ。

 祭礼委員会燈籠山部会の田中薫部会長(50)は「暑い中、マスクをしながらでも作業を続けられるのは、祭りへの情熱があるから」と話し、地域の団結を示して度重なる地震を乗り越えたいと力を込めた。

 市無形民俗文化財の飯田燈籠山祭りは今年、7月20、21日の日程で開催が予定されている。豪華絢爛(けんらん)な人形を載せた高さ約16メートル、重さ約5トンの燈籠山と、地元8町の曳山計9基が飯田町内を練る。コロナの影響で2年連続中止されただけに、今年の祭りに懸ける住民たちの思いはひとしおだ。

 震度6弱の地震で燈籠山が発着する春日神社の鳥居は全壊した。祭りを象徴する場所での被害に落胆する市民も多く、飯田町町内会連合会の泉谷信七会長(72)は「コロナ、地震と大変な事態が相次いでいるが、祭りが盛大に開催されれば、みんなを勇気づけるはず」と意気込む。

 奥能登では祭りだけは仕事を休んでも帰省する出身者が少なくない。飯田町栄町の作田昌吾さん(44)は「地震にもコロナにも、おらっちゃ(私たち)は負けない。『珠洲は元気やぞ』と伝えたい」と心待ちにした。

  ●珠洲焼の生産現場、作品づくりに意欲

 珠洲市の伝統工芸品である珠洲焼の生産現場では、地震で作品が割れるなど被害が出たが、職人らは片付けを進め、新たな作品づくりに意欲を示している。

 茶器など約200点が破損した田端和樹夫さん(74)は肩を落としながらも「日本伝統工芸展での入選を目指し、これからも作り続ける」と話した。市立珠洲焼資料館は展示品約50点が倒れ、収蔵庫のかめが落下して砕けて一時休館となったものの、22日から再び開館している。

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