ビオトープを舞うホタル=白山市尾添

ホタルが舞い戻ったビオトープ

  ●休耕田活用、ビオトープ整備

 白山市の一里野温泉で22日までに、ホタルが舞う風景が約20年ぶりに復活した。地元の宿泊施設「一里野高原ホテル ろあん」がかつての生態系を取り戻そうと、休耕田を活用した水稲栽培やビオトープづくりに取り組み、昨年放した幼虫が羽化した。星空の下をホタルが飛び交う昔ながらの田園風景がよみがえり、関係者を喜ばせている。

 ホタルの生息が確認されたのは、一里野温泉の入り口近くにある休耕田を活用した約100平方メートルのビオトープ。22日はゲンジボタル約30匹が飛び交う姿を見ることができた。

 ろあんによると、一里野は温泉街が開発される約40年前まで、尾添(おぞう)集落に暮らす人々が耕す田畑が広がっていた。夏には田んぼや用水にホタルが舞っていたが、観光業が盛んになるとともに耕作放棄地が増え、生息地は減少。20年ほど前に一時的にホタルが戻ったものの、その後は見られなくなったという。

 ろあんでは、かつての原風景を取り戻そうと、昨年から本格的に無農薬・無化学肥料にこだわった水稲の栽培に着手。休耕田約20アールを活用し、自然栽培の水田とビオトープを整備した。白山麓の他の地域から譲り受けた卵を育て、昨年夏にゲンジボタルとヘイケボタルの幼虫をビオトープに放った。

 今月に入り、ビオトープでゲンジボタルの飛ぶ様子が確認され、ろあんの「里山ワーカー」としてホタルの管理を続けてきた勝村宣彦さん(53)は「1年目からこんなに飛ぶとは思わなかった」と喜んだ。

 今後、ヘイケボタルが順調に羽化すれば、7月中旬ごろまでホタルが見られるという。ろあんでは22日から宿泊者を対象にした観賞ツアーも開始し、山﨑太一朗社長は「夢に見た風景が現実になった。ホタルだけでなく、さまざまな生物がすむ豊かな環境を守っていきたい」と話した。

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