地震で倒壊した塀を撤去する作業員=珠洲市野々江町

 19日に珠洲市で震度6弱を観測するなど能登地方で地震が相次いでいることを受け、七尾市の和倉温泉や輪島市の宿泊施設で少なくとも約700人の予約キャンセルが出たことが21日分かった。珠洲市で「飯田燈籠山(とろやま)祭り」が3年ぶりに開催されるなど能登は祭りシーズンを迎えるが、群発地震の影響が観光業に及び始めた。コロナ禍からの復活を目指していた関係者は「冷や水を浴びた気分や」と肩を落とした。

 「人の命を預かることになるから、無理に来てとは言えん」

 珠洲市飯田町の民宿「くにまつ」では、震度6弱を観測した19日に1件、21日にも1件の予約のキャンセルがあった。おかみの國重恵子さん(63)は「これだけ地震が続けば不安になるのは当たり前。キャンセルは仕方ない」と寂しそうに話した。

 22旅館・ホテルが加盟する和倉温泉旅館協同組合(七尾市)によると、20、21日の2日間で488人分の予約キャンセルを受け付けた。宮西直樹事務局長は「これ以上地震が続けば、観光シーズンとなる夏休みの予約に影響を及ぼしかねない」と懸念した。

 輪島市内の宿泊施設でも6~7月分で200人近いキャンセルが発生しており、市観光協会にも地震の影響を尋ねる問い合わせが相次ぐ。同市大野町の旅館「ねぶた温泉海游能登の庄」の大向洋紀社長は「ようやくコロナからの回復の兆しが見えていたのに…。早く地震が収まるのを祈るしかない」と漏らした。

 能登では7月8、9日に能登町宇出津で石川県無形民俗文化財「あばれ祭(まつり)」、同20、21日に珠洲市無形民俗文化財「飯田燈籠山祭り」が、いずれも3年ぶりにキリコや曳山の巡行を実施。8月には同市宝立町で「宝立七夕キリコまつり」の実施が決まっており、各地で祭りムードが高まっていたところに、大規模地震が発生した。

 「地震が数カ月で終わる兆候は現れていない」との専門家の見解があるものの、飯田燈籠山祭りの運営に携わる「飯田町祭礼委員会燈籠山部会」の田中薫部会長(50)は「大きな地震の発生は予想していなかったが、せっかく復活する祭りに向けてみんなで頑張りたい」と意気込んだ。

  ●がれき撤去進む

 珠洲市内では21日、住民が地震で発生したがれきを片付ける作業を進めた。野々江町の駐車場近くでは、市内の業者が倒れた塀を工具やクレーンを使って撤去した。

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