常連客から花束をもらう齋田さん夫婦=金沢市寺町5丁目

最後の酒まんじゅう作りに励む齋田さん夫婦

のれんを眺め、閉店を惜しむ齋田さん夫婦

 寺町寺院群近くにある和菓子店「さいだ生菓子舗」(金沢市寺町5丁目)が30日、55年の歴史に幕を下ろした。和菓子職人の齋田義一さん(80)と洋子さん(80)の夫婦二人三脚で、氷室まんじゅうなどを提供してきたが、高齢に加え、コロナ下の観光客減少で売り上げが減り、閉店を決断した。多くの客が最後の味を買い求めようと訪れ、夫婦にねぎらいの言葉をかけ、別れを惜しんだ。

 さいだ生菓子舗は1967(昭和42)年、小松市の和菓子店で修業した義一さんと、加賀市の和菓子店で勤務した洋子さんが野町1丁目で店を構えたのが始まり。義一さんが商品を作り、洋子さんは店頭に立ち、72年には現在の場所に移転した。

 看板商品は酒まんじゅう。生地に白山の湧き水を使用し、義一さんが熟練の技であんこをたっぷり入れ、ふっくら仕上げるのが特徴だ。常連客に加え、寺町寺院群に近いことで観光客も買い求め、最盛期は1日で1万2千個ほどを売っていたという。義一さんは「日が昇る前から夜中まで働き、よくやってたな」と振り返る。

 コロナ下、観光客減少に伴い売り上げは減少。高齢に伴い、義一さんが1日に作ることができるまんじゅうは150~200個となった。6月に入ると、氷室まんじゅうの予約が入り始めるため、その前に閉店することにした。

  ●別れ惜しみ列

 最終営業日の30日、長男和樹さん(53)と長女の平岡靖子さん(50)も応援に駆け付けた。午前9時の開店前から列ができ、正午前にはほとんどの商品が売り切れた。近所に住む50代女性は「ここのまんじゅうは最高。もう食べられなくなると思うと悲しい」と惜しんだ。

 のれんを片付けた義一さんは「思ったようにまんじゅうを作るのが難しくなった。ここが潮時や」と語り、洋子さんは「これからどう過ごすかゆっくり考えたい」と笑顔で話した。

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