個人戦で優勝を決め、晴れやかな表情を見せる篠選手=金沢市の石川県卯辰山相撲場

団体戦決勝トーナメントで気合の入った表情を見せる金沢学院大附高の(左から)森田陽彦、篠侑磨、篠宗磨

 渾身(こんしん)の押し出しが決まると、新緑揺れる卯辰を歓喜が包んだ。22日、1915(大正4)年から106回を数える高校相撲金沢大会(北國新聞社主催)で、金沢学院大附高の篠侑磨選手(3年)が個人戦を制した。準優勝した団体戦を含め、自身は無双の13戦全勝。3年ぶりに戻った有観客のにぎわいを背に「稽古の成果を出せた。大勢の前で優勝できてうれしいです」と静かに喜びをかみしめた。

  ●金沢学院大附3人目V

 勝っておごらず。その信念を貫き、全国大会の初タイトルを手にした。迎えた決勝。大きく息を吐いて土俵に上がると、いつも通り深々と礼をした。「優勝を意識せず、自分の相撲を取るだけ」。立ち合い鋭く、ついても離れても冷静に動きを見て、相手が態勢を崩した隙を逃さず一気の押しで勝利。篠選手は大きな拍手を浴びてもガッツポーズはせず、土俵を降りて一礼した。

 金沢学院大附高としては、2008年の遠藤聖大(しょうた)選手(幕内・遠藤)、13年の黒川宏次朗選手に続く個人王者となった。

 篠選手は新潟市出身で、元々は剣道少年だった。相撲は小学3年から始め、しばらくは「二刀流」だったが、「相撲の方が面白い。もっと強くなりたい」と思い、石川県に「相撲留学」した地元の先輩の影響もあって、強豪・金沢市犀生中に進んだ。

 故郷を離れた時から憧れていた金沢学院大附高に入学し、「練習の虫」と呼ばれる真面目さで強くなった。根っからの相撲好き。新潟のちゃんこ店でもらった元横綱稀勢の里(二所ノ関親方)の使用済みテーピングをお守りとして肌身離さない。17年に元横綱白鵬(間垣親方)を破って初優勝した際に巻いていたものらしく、この日もまわしに潜ませ、土俵に上がった。

 昨年10月の第105回大会では、個人で準優勝した大森康弘選手(金沢学院大相撲部1年)ら先輩に支えられたが、今大会は自らがチームを引っ張った。先鋒を務めた森田陽彦選手(3年)は「本当に頼りになる」、兄の後を追って新潟から来た弟の宗磨選手(1年)は「憧れの存在であり、超えなくてはいけない壁。多くのことを学びたい」と頼りにしている。徳田哲雄監督は「主将の意地を見せてくれた。日ごろから勝敗に一喜一憂しないよう教えている。立派な態度だった」とうなずいた。

 応援に駆け付けた父京之さん(49)は「中学で金沢に送り出して正解だった。素晴らしい仲間に恵まれた」と目を細める。篠選手は「これを弾みに全国高校総体では団体、個人でも優勝したい」と力強く語った。

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