自動車盗の被害防止に有効とされるタイヤロック=金沢市内

  ●4月下旬に3件、同一犯の可能性

 金沢、白山市内で4月下旬、国産高級車「レクサス」、スポーツタイプ多目的車(SUV)「ランドクルーザー」が盗まれる被害が少なくとも3件相次いだことが11日、捜査関係者への取材で分かった。いずれも夜間に施錠された車のエンジンを始動させ乗り去っており、車の制御システムを操る「CANインベーダー」と呼ばれる新たな手口を使った同一犯の可能性がある。石川県警は連続窃盗事件とみて犯人の行方を追っている。

 捜査関係者によると、被害に遭ったのは金沢中、西、白山署管内の駐車場に止められた車両。レクサスやランドクルーザーは、ともに世界的に人気が高い車種で、転売が目的とみられる。

 盗まれた車両はいずれも施錠されており、所有者が車を利用しようとした際、無くなっていることに気付いたという。県警は複数人による窃盗グループの犯行で、不正に車を解錠、エンジンをかけて乗り去った可能性が大きいとみている。

 自動車窃盗事件を巡っては、近年、車の電子キーが発する電波を増幅、中継して鍵を開ける「リレーアタック」が主流だったが、2020年ごろから「CANインベーダー」と呼ばれる新たな手口が増え始めた。

 昨年は、関東を中心とした17都府県で同様の手口を使い、200台近くのレクサスやミニバン「アルファード」などを盗んだ疑いで、大阪の男ら5人が兵庫県警などに逮捕、書類送検されている。

 石川県内で4月下旬に発生した車両窃盗事件も、CANインベーダーの手口で盗まれた可能性があり、県警は、周辺の防犯カメラの解析など調べを進めている。

  ●「リレーアタック」から切り替え? どこでも被害の恐れ

 捜査関係者によると、これまで主流だった「リレーアタック」は近くに電子キーが必要で、自宅前に止められた車両が被害に遭うケースが多かった。一方、「CANインベーダー」は車内の配線に特殊な機器を接続する方法で、電子キーが周囲にない場合でもエンジンを始動させることができる。

 カー用品店「スーパーオートバックス金沢」(金沢市)によると、自動車盗では、高値で取引される高級な新車が狙われる傾向にある。日本損害保険協会(東京)がまとめた2021年の全国の盗難車種は1位が「ランドクルーザー」、2位が「プリウス」、3位が「レクサスLX」だった。

  ●タイヤ、ハンドルのロック有効

 被害を防ぐには、タイヤやハンドルにロックを掛けるといった「見せる防犯」が有効とされ、解錠やエンジン始動に時間がかかると、犯行を諦める可能性が大きくなることから、スーパーオートバックス金沢の担当者は「防犯対策をしっかり行っているとアピールすることが大切だ」と話した。

 石川県警のまとめでは、県内で昨年1年間に認知した自動車盗の件数は前年と比べて3件増の17件だった。全国では前年比28件減の5182件が確認された。

 ★CAN(キャン)インベーダー 「CAN(コントローラー・エリア・ネットワーク)」は車の内部にある電子回路や電気系の装置を接続するための通信規格の一つで、エンジンや各種センサーなどをつないでいる。新たな犯行手口は、この伝送路に特殊機器で不正に接続することで制御システムに侵入し、ドアロックの解錠やエンジンを始動させる。

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