鐘楼堂の前に植えられた兼六園生まれのモミジ=埼玉県鴻巣市の真言宗法要寺

  ●石川郷土史学会・横山さんが企画

 参勤交代を縁に加賀藩前田家と交流があったとされる埼玉県鴻巣市の真言宗法要寺で17日、兼六園生まれのヤマモミジを植える記念式典が行われた。石川郷土史学会常任幹事の横山方子(まさこ)さん(77)=金沢市=が金沢ケーブルの番組出演をきっかけに企画。放送から8年越しでの実現となり、参列者約50人は樹木の成長とともに石川との交流が広がることを期待した。

 寺の伝承では、慶安年間(1648~52年)の頃、参勤交代で加賀藩の一行が鴻巣宿の寺を訪ねた際、門前で下馬しなかったことが「無礼」と見なされ、宿泊を断られた。困っていた一行を快く受け入れたのが法要寺で、以来、焼失した本堂の再建を前田家が支援するなど友好関係が続き、寺側は家紋「梅鉢紋」の使用を許されたという。

 北國総合研究所の研究員を務める横山さんは、2014年に金沢ケーブルの大名行列に関する番組で寺を訪れ、小寺秀仁住職(76)と懇談した。「前田家とのつながりを示すシンボルが何かあれば」と悩む住職を気にかけていた横山さんが、兼六園の記念行事でモミジの苗が配られることを知り、4本を譲り受けて16年に寺に寄贈した。

 寺では造園業者で大きく育ててからの植樹式を計画していたが、コロナ禍で日程がずれ込んでいた。

 17日の植樹式では、読経の後、参列者がモミジに土をかぶせ、水をかけた。小寺住職はあいさつでモミジの紅葉に期待を膨らませ「縁をつないで大きく育っていけばいい」と語った。横山さんは「この場所ならきっと兼六園の親モミジも喜んでいるだろう」と目を細めた。

  ●珠洲出身・光眞さん、のとキリシマ寄贈

 モミジの移植に合わせ、奥能登で育ったのとキリシマツツジも植えられた。

 戦前まで境内にあった鐘楼堂が09年に再建された際、珠洲市産のケヤキ材が用いられており、これに縁を感じた東京奥能登応援団代表の光眞章さん(74)=珠洲市出身、川崎市在住=が交流を広げたいと、寄贈した。珠洲市の石川県天然記念物「大谷ののとキリシマツツジ」から株分けし、30年ほど育てられた6本を鐘楼堂の周囲に植えた。

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