兼六園のヤエザクラから採取した酵母で開発したビール=金沢市の石川県工業試験場

酵母を採取した兼六園のヤエザクラ(石川県工業試験場提供)

  ●県工業試験場、県内醸造所と商品化目指す

 兼六園のヤエザクラの花びらから採取した酵母を使ったビールを、石川県工業試験場が15日までに開発した。約1年半かけ、酵母をビール造りに適した性質に切り替える実験を繰り返し、ビールと同程度のアルコールを生成することに成功した。県工試は県内醸造所と連携し、量産化に向けた研究を進めており、付加価値の高い地ビールの商品化を目指す。

 県工試は2010年度から、県内の観光名所の草花から分離した酵母の研究に取り組んでいる。これまで1300株以上の酵母を調べ、15年には、県酒造組合連合会が兼六園のヤエザクラから採取した酵母を使った日本酒を開発した。

 桜の酵母を使ったビールの研究は20年度から始まった。化学食品部の山崎裕也主任技師(32)によると、ビールは原料の麦芽を基にした「麦汁(ばくじゅう)」を酵母でアルコール発酵させて作る。研究当初は桜の酵母にその力がなかったため、麦汁からアルコールを生成する力をどう高めるかが大きな課題だった。

 県工試では、化学薬品の濃度や酵母の生育時間を少しずつ変えるなどして研究を重ねた。当初は1%以下だったアルコール濃度を約4・5%まで高めることに成功、商品化につながる技術を確立した。

 試作品は、アンズのように甘い香りと、フルーティな味わいに仕上がった。山崎主任技師は「量産化した際に香りや味わいが保てるかどうかが今後の課題になる。何とか商品化につなげたい」と話した。

  ●ノトキリシマツツジ酵母で日本酒開発

 桜の酵母を使ったビール以外にも、県工試は地元の花を活用した商品開発を進めており、今年度はノトキリシマツツジから採取した酵母で、日本酒を開発する技術開発に着手した。兼六園のヤエザクラで開発した日本酒は、より香りを高めるために実験を重ねている。

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