墜落したとみられる虎柄の機体とともに、月刊北國アクタスの写真に納まる田中1佐=昨年12月、航空自衛隊小松基地

 31日に消息を絶った航空自衛隊小松基地のF15戦闘機に乗っていたのは、「航空自衛隊最年長パイロット」を自認する精鋭部隊のトップだった。昨年12月、北國新聞社の取材に「日本の空の平和と安全を守る」と語った飛行教導群司令の田中公司1等空佐(52)と、部下の植田竜生1等空尉(33)の安否は、事故から丸1日を経て不明のまま。海上自衛隊なども加わり、必死の捜索が1日も続いた。

 とら年にちなんで虎柄に塗装されたF15を前にポーズを取る田中1佐。昨年12月6日、月刊北國アクタスの取材では、雨の中でも気さくに写真撮影に応じた。「われわれは全国各地のパイロットの技術向上に励む精鋭部隊。日本海だけでなく日本の空の平和と安全ににらみを利かせている」と語った際だけは表情が険しくなり、防人(さきもり)のプライドをにじませた。

 田中1佐は福岡県筑前町出身で、空自のアクロバット飛行チーム「ブルーインパルス」隊長も務めた。昨年6月18日付で群司令として小松に赴任し、全国の基地を飛び回った。

 植田1尉は20年9月から小松基地で勤務する。航空幕僚監部によると、総飛行時間は田中1佐が約2800時間、植田1尉が約1900時間で、2人とも十分な技能を持つ。

  ●「バカヤロー、返事しろ」

 田中1佐と24年来の友人である小松基地の友好団体「ハイフライト友の会」の上出雅彦会長(70)=能美市寺井町=は、2人の技量から「操縦ミスはありえない」と声を詰まらせた。

 正月には上出会長が、田中群司令に京都の飛行神社で買ったお守りを渡したばかり。「田中さんの携帯電話に『バカヤロー』ってメールしたんや。返事しろよ。戻ってきて、自分の口でちゃんと説明して」と無事の帰還を願った。

  ●護衛艦加わり捜索

 墜落したとみられるF15戦闘機と、搭乗していた2人の捜索は、31日から夜を徹して行われた。小松基地の航空機や金沢海上保安部の巡視船艇に加え、海上自衛隊のヘリコプター搭載型護衛艦「ひゅうが」などの艦艇が集まり、機体がレーダーから消えた小松基地から約5キロ付近を中心とする海域を何度も航行した。

 陸上でも、小松基地の隊員が海岸線を歩き、漂着物などを探した。

  ●漁業関係者に謝罪

 沖合での物々しい捜索活動を、市民や漁業関係者は固唾(かたず)をのんで見守った。県漁業協同組合小松支所の森田誠運営委員長や、加賀支所の橋本勝寿運営委員長には小松基地から「迷惑を掛けてしまい、申し訳ない。漁中に網に機体の残骸などが引っ掛かった際には、一報いただきたい」との謝罪があった。

 ★飛行教導群 戦闘機部隊の操縦技術の指導が任務。アグレッサー(侵略者)の異名があり、パイロットは高い技量を持つとされる。敵役をするため、通常の空自機と異なる塗装をしており、不明になった機体は特徴的な虎柄のデザインだった。

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【動画 小松基地を離陸する、墜落したとみられるF15戦闘機】

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